【中小規模の施設警備会社向け】法人営業の方法とコツとは?(2)

2025年6月27日配信

カテゴリ:
DX 営業 採用 育成 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。施設警備業を展開する中小企業の経営者・幹部・人事担当者の皆様へ、人材不足や業績拡大に直面する今、法人営業の強化が急務です。本記事では、施設警備会社における営業活動の基本から実践的なコツ、育成の仕組みまで、現場で活かせるノウハウのその2を徹底解説いたします。

見積・提案書で信頼を勝ち取る5つのポイント

法人営業において、見積書や提案書は単なる書類ではなく、自社の信頼性と実力を伝える重要な営業ツールです。特に施設警備業では、目に見えにくいサービス内容を可視化する手段として、その質が契約成否を大きく左右します。
見積根拠の明確化:まず、価格の根拠を明確に記載することが基本です。「何にどのくらい費用がかかるのか」「警備員の配置数・時間・深夜手当の有無」など、曖昧なまま提出するのではなく、内訳ごとに丁寧に説明を加えましょう。これにより、不透明感が払拭され、価格以上の信頼感を生むことができます。

提案内容に顧客視点を反映

提案書には、自社ができることだけでなく、顧客の課題やニーズに基づいた改善案を盛り込むことが大切です。現地確認を踏まえたうえで「この出入口は人の流れが集中するため、警備員を常時配置する必要がある」といった具体的提案が説得力を高めます。

警備品質の保証体制を明示

サービスの質を裏付ける材料として、教育制度やチェック体制についても必ず触れましょう。「新任・現任教育の実施」「巡察責任者の定期報告」など、警備員の育成体制と品質維持の仕組みは他社との差別化ポイントになります。

成果イメージの明文化

導入による効果や変化の期待値も明記しましょう。「導入後は来訪者トラブルが減少し、受付業務の効率が上がった」など、過去の事例に基づいた成果を示すことで、相手に具体的なイメージを持たせることが可能となります。

書式・デザインの整備

最後に、見た目も重要です。読みやすく整理された構成、図表を活用したビジュアル、法人ロゴや連絡先の整備など、形式の整った資料は、警備会社としての信頼性・丁寧さ・実務力を象徴します。

このように、見積・提案書は単なるコスト提示資料ではなく、経営姿勢や人材教育方針を伝える営業武器でもあります。丁寧に構成された提案書を武器にできれば、価格だけに依存しない営業が実現し、長期契約にもつながってまいります。

契約につなげるクロージングのコツとは?

法人営業の終盤で最も重要なのが「クロージング」のフェーズです。提案や見積まで進んだものの、最終的な契約に結びつかないという施設警備会社の声は少なくありません。特に中小規模の企業では、営業担当者の経験や判断力が結果を左右するため、クロージングに関する基本的なノウハウを社内で共有することが肝要です。

まず大切なのは、「相手にとっての決断材料が十分に揃っているか」を確認することです。サービス内容、費用、対応体制、導入後のメリットといった要素が明確に伝わっていなければ、契約には進みにくくなります。そのため、クロージング前に必ず振り返りの確認を行いましょう。

次に、決裁権限のある担当者との面談を確実に実現することが求められます。現場担当者とのやり取りだけでは最終決定に至らないケースが多いため、上長や経営層への説明機会を得るためのアプローチが必要です。

クロージングの際には、相手の不安をしっかりと受け止め、丁寧に対応する姿勢が重要です。たとえば「今の警備会社との契約満了が3ヶ月先なので、それまでに切り替えるメリットがあるか悩んでいる」といった懸念に対しては、「段階的な切り替えプラン」や「無料の立ち会い期間」など、安心材料を提示することが効果的です。

また、クロージングで無理に押し込むのではなく、「ご判断のタイミングについて、再度お伺いしてもよろしいでしょうか」といった確認型のアプローチが相手の心理的な抵抗を軽減しやすくなります。さらに、契約書や業務開始までのスケジュールが明確に提示されていると、意思決定を後押しする材料になります。スタートまでの流れが見えることで、導入の不安が薄れる効果も期待できます。そして、契約後のサポート体制やフォローアップの内容についても、この段階でしっかりと説明しておくことが、信頼感を高めるポイントです。「契約して終わり」ではなく「契約後の満足度向上」まで含めた提案が、中小企業ならではの強みになります。

最後に、契約直前まで話が進んだにもかかわらず、決断が先延ばしになった場合には、「なぜ今でなければならないのか」を改めて伝えるクロージングメッセージが有効です。たとえば「年度末予算の活用」「繁忙期前の体制強化」など、時期的な意味づけを行うことで、契約確度が高まります。
このように、クロージングには技術だけでなく、相手の状況や心理に寄り添う人間力が求められます。施設警備という“安心”を売る仕事だからこそ、信頼を軸にした丁寧な契約プロセスの構築が重要となるのです。

警備業界特有の営業NG例と改善策

施設警備会社における営業活動では、他業種と異なる独自のNG行動が存在します。これらを知らずに営業を行うと、成果が出ないどころか、企業イメージの毀損にもつながりかねません。ここでは、代表的なNG例とその改善策を具体的に見ていきましょう。

まず1つ目のNGは、「現場を見ずに提案を進めること」です。警備の仕事は現場の状況に左右されるため、事前の下見やヒアリングが不十分なまま提案を出すと、後の業務遂行に支障が出るケースがあります。改善策としては、必ず初回提案前に現地調査を行い、ヒアリング結果を提案書に反映させることが求められます。

2つ目のNGは、「価格のみで営業を進めてしまうこと」です。価格訴求は一時的に刺さる可能性がありますが、継続契約や紹介にはつながりません。むしろ「安かろう悪かろう」という印象を与えるリスクがあるため、教育制度や人材の質など、警備の価値を伝える内容とセットで提示する必要があります。

3つ目のNGは、「警備業務に関する専門用語をそのまま使うこと」です。警備業法や配置基準、巡察ルールなどを専門用語で説明すると、相手が理解しづらくなり、かえって信頼を損なうことがあります。専門用語は簡単な言葉に言い換え、相手が理解しやすい言葉で伝えることが改善策となります。

4つ目のNGは、「契約後のフォロー体制を曖昧にすること」です。契約した瞬間に営業が関与をやめてしまうと、「売りっぱなし」という印象を与え、顧客満足度が下がる原因になります。営業と現場が連携し、定期的に顧客との接点を持つ体制を整えることが信頼維持につながります。

5つ目のNGは、「営業担当者の教育が不十分なこと」です。営業スキルだけでなく、警備業の法知識や現場理解がないまま営業に出すと、質問に答えられなかったり、誤解を招いたりする恐れがあります。改善のためには、営業担当者にも警備教育の一部を受講させ、現場経験を持たせるなどの仕組みが有効です。

このようなNG行動を減らすことは、短期的な営業成果だけでなく、企業全体の経営品質や人材力の底上げにも直結します。日々の営業活動の中で「これは適切か?」と振り返る習慣を持つことが、長期的な成長につながっていきます。

成約率が上がる営業資料・パンフレットの作り方

施設警備会社が営業活動を展開する際、パンフレットや営業資料の質は、顧客の関心を引きつけ、契約への道筋をつくる大きな要素です。特に中小企業では限られた営業リソースのなかで「伝わる資料」を作ることが、業績に直結する大切なポイントになります。

まず第一に、営業資料の目的を明確に設定することが重要です。単なる会社紹介ではなく、「どんな問題を解決できるのか」「なぜ自社を選ぶべきか」を明示する構成にすることで、法人顧客の検討材料として機能します。
資料の冒頭には、会社の理念や実績、提供しているサービスの概要を分かりやすくまとめましょう。ただし、情報量が多すぎると読みにくくなるため、図や写真を効果的に使いながら、視覚的に理解しやすい構成を意識することが必要です。

また、施設警備という業務特性上、「どのような人材が、どのような教育を受けて警備に従事しているのか」を伝えるページを設けることで、品質面の信頼性を高められます。人材育成に関する記述は、他社との差別化にもなります。
さらに、実績紹介は資料のなかでも特に重要です。業種別の導入事例や、導入後の改善内容をストーリー仕立てで掲載することで、読み手が自社に置き換えて想像しやすくなります。
導入までの流れも明記すると安心感につながります。例えば「ヒアリング→現地調査→提案書提出→契約→開始前研修→運用開始」といった具体的なプロセスを図示することで、依頼側の不安を払拭する効果が期待できます。

資料のトーンは、あくまで誠実かつ親しみやすく、難解な専門用語を使いすぎないように注意します。読み手は必ずしも警備の専門家ではありません。丁寧な言葉遣いと説明を心がけましょう。
パンフレットの印刷媒体だけでなく、PDF形式での送付やWebサイトへの掲載も併用することで、営業の幅が広がります。問い合わせページへの導線も設け、オンラインでのリード獲得にもつなげていきましょう。

このように、営業資料やパンフレットは「読まれるだけのもの」ではなく、「行動を促すための設計」が必要です。施設警備の仕事を正しく伝えるためにも、営業資料のブラッシュアップは継続的に行い、常に改善を図る体制が望ましいといえます。

営業と採用を両立させる組織づくりのポイント

施設警備会社において、営業活動の強化と人材確保の両立は、多くの中小企業にとって重要かつ困難な課題です。限られた人員と資源の中で、両方の業務を同時に推進するには、組織体制の見直しと仕組みの構築が不可欠です。

まず前提として、営業部門と採用部門が完全に分離されていることはまれであり、現場責任者や経営層が双方を兼任しているケースが少なくありません。このような現実を踏まえ、業務の優先順位を明確に定めることが第一歩となります。営業活動と採用活動は、実は相互に好影響を与える関係にあります。たとえば、営業によって新たな契約が生まれれば、その現場に必要な人材確保が急務となります。一方で、優秀な人材が採用できれば、サービス品質が向上し、顧客満足や紹介につながり、営業成果にも反映されます。
この両輪を同時に回すには、業務の属人化を防ぎ、標準化・共有化することが求められます。具体的には、営業進捗の見える化、人材募集スケジュールの事前共有、採用要件の明文化など、情報共有の仕組みを整備しましょう。

また、採用と営業を同じチームで推進する「複合型チーム制」も効果的です。営業担当が採用の現場課題を理解し、採用担当が顧客ニーズを把握することで、組織全体の戦略が一致しやすくなります。さらに、定例会議での連携強化が成果を生みます。営業・採用の現場責任者が毎週短時間でも進捗を共有し合うことで、優先すべき施策や調整ポイントが明確になります。これは、限られた人材で複数機能を担う中小企業ならではの効率的なマネジメント手法です。なお、営業と採用を両立する上で避けたいのが、担当者への過度な負荷です。タスクの棚卸しと分担、アウトソーシングやITツールの活用により、属人化を解消し、長く持続可能な組織運営が可能になります。

とりわけ、採用活動に関しては、「常に募集しておく姿勢」が肝要です。警備業は突発的な欠員が発生しやすいため、営業と連動した採用準備が業績を支える下支えになります。
このように、営業と採用を両立させるには、経営視点からの全体設計と、現場との情報循環を前提とした組織構築が必要不可欠です。短期的な成果だけでなく、中長期的な企業成長を見据えた体制づくりが求められます。

未経験社員でも成果を出せる法人営業の教育法

施設警備会社において、法人営業を担う人材が不足している現場では、未経験者を営業担当に抜擢するケースも少なくありません。そこで重要となるのが、未経験者でも成果を出せる教育・育成体制の整備です。

まず最初に必要なのは、「警備業界の基礎知識」をしっかりと理解させることです。施設警備の目的、警備業法、業務の種類や契約形態など、最低限の業界知識がなければ顧客への提案も信頼性に欠けてしまいます。動画教材やテキストを活用したeラーニングなどで、短期間に学べる仕組みを用意しておきましょう。

次に「営業の基本スキル」の習得が求められます。名刺交換、訪問時のマナー、ヒアリングの方法、商談の流れなど、営業としての基本動作はロールプレイングを通じて習得させるのが効果的です。上司や先輩社員がロールモデルとして同行し、実践の中でフィードバックを行う体制が望ましいです。

教育段階で重視したいのは「トークマニュアル」の整備です。施設警備会社としての提案ポイント、競合との差別化要素、想定質問と回答集などをまとめた営業支援資料を活用することで、未経験社員でも一定水準の提案が可能になります。

さらに、「警備現場の同行研修」も不可欠です。警備業務の内容を実際に見ることで、営業資料だけでは分からない細かなポイントを把握でき、提案のリアリティが格段に向上します。営業と現場の橋渡しとしての視点を養う機会にもなります。

進捗管理については、日報や週報を通じて営業活動の内容を可視化し、管理者が早期にフォローを行える体制を整えましょう。また、失敗を責めるのではなく、失敗からの学びを共有する風土が、新人営業の成長を加速させます。

営業成果が出るまでには一定の時間がかかります。そのため、短期的な数字だけで評価せず、ヒアリング件数やアポイント取得数などのプロセス評価を導入することで、モチベーションを維持しやすくなります。

最後に、未経験社員の営業教育は一度きりで完了するものではなく、定期的な振り返りとアップデートが必要です。定例研修や成功事例の共有会などを通じて、継続的に学び続けられる環境づくりを大切にしましょう。

このように、施設警備会社の法人営業においては、未経験者でも実力を発揮できる教育体制を整えることで、人材の多様化と営業力の底上げが同時に実現できます。

施設警備業における「リピート・紹介」を生む営業戦略

施設警備会社にとって、新規開拓と同様に、既存顧客からのリピート契約や紹介による新規顧客獲得は、安定的な業績向上に欠かせない要素です。とりわけ中小企業では、限られた営業資源で最大の成果を得るために、この「既存顧客の活用」に注力すべきです。

まず、リピート契約を促すためには、契約期間中の「満足度の維持と向上」が必須です。単に契約を履行するだけではなく、定期的なコミュニケーションを取り、業務に関する課題や要望をヒアリングしながら改善提案を重ねていくことが重要です。
具体的には、月1回の振り返り面談や簡易アンケートの実施など、顧客の声を拾い上げる仕組みを持つことが、継続契約につながります。また、トラブル対応後のフォローアップを丁寧に行うことでも、信頼感が強化されます。

次に、紹介を生むには「紹介したくなる会社づくり」が求められます。サービス品質だけでなく、営業や現場スタッフの人柄や対応の誠実さが紹介の動機になることは多く、日々の接点を通じて信頼関係を構築していくことが不可欠です。
紹介施策としては、「紹介者へのお礼制度」や「顧客限定のニュースレター」などが挙げられます。たとえば、「紹介していただいた方には、契約成立時に○○を進呈」といった特典制度を設ければ、紹介の動機づけになります。

また、実際に紹介があった際には、紹介元への感謝と成果報告を忘れずに伝えることが、継続的な紹介につながります。営業部門と現場責任者が一体となり、紹介活動を「全社活動」として位置づけることが成功の鍵です。
SNSや社内報などを活用し、既存顧客の成功事例や声を外部へ発信することも、間接的な紹介につながります。見込み顧客が、同業他社の成功例を知ることで、自社でも導入を検討する可能性が高まるのです。

このように、リピートと紹介は、施設警備会社の営業活動において極めてコスト効率の高い戦略であり、組織として体系的に取り組むことが重要です。

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