【中小規模の機械警備会社向け】法人営業の方法とコツとは?(1)

2025年7月1日配信

カテゴリ:
営業 育成 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。このコラムは、中小規模の機械警備会社を経営されている経営者・幹部・人事担当者に向けて、法人営業の基本と実践的なコツを詳細に解説しています。人材の確保や業績アップに向けて営業力を強化したい方にとって、実践的かつ再現性の高い情報をお届けいたします。

中小の機械警備会社が法人営業に注力すべき理由とは?

中小企業庁の定義では、中小企業とは常時使用する従業員数が100人以下、または資本金が3億円以下の法人を指します。こうした中小規模の機械警備会社においては、大手と異なり広告宣伝や営業リソースが限られているのが現実です。しかし、法人営業に注力することで安定的な収益源を確保することが可能となります。

特に、施設における機械警備のニーズは年々高まっており、オフィスビルや商業施設、物流拠点などでは無人化・省人化への取り組みが進んでいます。こうした法人顧客に対して営業をかけることで、自社のサービス導入機会を広げることができます。

さらに、法人営業を通じて長期契約を獲得できれば、経営の安定性が高まり、人材の計画的な採用や育成にもつながります。その結果、業績が向上し、従業員にもやりがいのある仕事環境を提供できるようになります。
今後の警備業界の動向を見据えても、法人営業は中小企業が生き残るための重要な戦略であると考えられます。

法人営業と個人営業の違いを理解することが成果の第一歩

法人営業と個人営業は、営業対象・プロセス・成果の安定性など、根本的に異なる性質を持っています。特に機械警備会社のようなBtoBビジネスにおいては、法人営業の理解が不可欠です。
法人営業では、取引先が一つ決まれば長期的かつ継続的な契約につながる可能性が高く、業績の安定に寄与します。一方、個人営業は単発の契約や短期利用が多く、経営的なリスクも大きくなりやすい傾向があります。

また、法人営業は複数の意思決定者が関与するため、ヒアリング力や提案力に加え、社内調整への理解も必要です。機械警備会社としては、顧客企業のセキュリティ体制や業務フローを丁寧に分析し、それに最適化した提案を行うことが成果につながります。

さらに、法人営業の過程では「信頼の蓄積」が非常に重要となります。初回訪問からすぐに契約に至るケースは少なく、複数回の訪問ややり取りを通じて関係性を構築していく必要があります。
このような営業活動を通じて、自社の人材も成長し、教育や育成の機会にもつながっていきます。営業経験を積むことで、担当者自身の仕事へのモチベーションや自信にもつながるでしょう。
したがって、中小の機械警備会社が今後法人市場で成功を収めていくには、個人営業との違いを深く理解し、法人営業の本質を押さえた活動を展開していくことが求められます。

営業戦略を設計する前に明確にすべき3つのこと

機械警備会社が法人営業を成功させるためには、事前の戦略設計が欠かせません。営業活動を開始する前に、最低限明確にしておくべき要素が3つあります。

第一に、自社サービスの強みと課題を客観的に把握することが必要です。他社との差別化要素を明示し、どのような業種・規模の法人に適しているのかを言語化することで、営業対象の精度が上がります。

第二に、具体的なターゲットリストを作成することが求められます。地域、業種、従業員数、既存の警備体制などの情報を踏まえたうえで、優先度を設定し、段階的な営業展開を計画すると効果的です。

第三に、営業担当者の役割と行動計画を明確にする必要があります。訪問件数やヒアリング内容、提案準備の流れなどを標準化し、属人的にならない仕組みを構築することが安定した成果につながります。

これら3つの要素が曖昧なまま営業を開始してしまうと、非効率なアプローチとなり、業績の向上にはつながりません。むしろ現場の混乱や人材の離職につながるリスクもあります。
一方で、戦略が明確であるほど教育・育成の効果も高まります。新任営業担当者でも迷わず行動できる環境を整備することが、組織力の強化に直結します。
つまり、営業戦略の設計は単なる準備作業ではなく、機械警備会社の中長期的な経営基盤を築くための重要なステップなのです。

警備業界ならではの法人ニーズとは?

狙うべき顧客層の特徴警備業界における法人顧客のニーズは、一般的な業界と比較してやや特殊な傾向があります。特に機械警備の導入を検討している法人は、安全性とコスト削減の両立を重視する傾向にあります。
具体的には、オフィスビル、商業施設、物流センター、医療機関、学校などが代表的なターゲットになります。これらの施設では、人的警備と併用する形で機械警備を導入し、24時間の監視体制を確立するニーズが高まっています。

特に昨今は、労働人口の減少により、人材不足が深刻化しており、人的警備だけでは業務が回らないケースが増えています。そのため、機械による補完的なセキュリティ対策が求められているのです。
また、法人側は警備に対する「信頼性」と「継続性」を重要視しています。一度トラブルが発生すると企業の信用問題に発展するため、安定的かつ迅速に対応できる機械警備会社が求められています。

そのためには、自社が提供できるサービスの品質と、トラブル時の対応力を具体的に説明できるようにしておく必要があります。
さらに、顧客の業種によっては、独自のセキュリティ要件が存在するため、画一的な提案では通用しません。業種特化の提案力が、成約率の向上に直結します。
加えて、最近ではESG経営の観点から、持続可能性や環境配慮を求める企業も増えており、エネルギー効率の良い機器やスマート化対応も重要なポイントとなります。
以上を踏まえると、狙うべき顧客層は明確に定義され、そのニーズに応じた提案と対応ができる体制を整えることが、法人営業成功の鍵となります。

営業ターゲットの絞り方と見込み顧客リストの作り方

中小規模の機械警備会社が法人営業を行う際、やみくもに企業訪問を重ねても成果にはつながりにくいものです。成果を生むためには、明確な営業ターゲットの絞り込みと、体系的な見込み顧客リストの作成が不可欠です。
まず、営業ターゲットを絞る際には、自社が提供できる警備サービスの特徴と合致する業種や企業規模を明らかにすることが重要です。例えば、無人施設の夜間警備に強みがあるのであれば、物流倉庫や工場などが候補となります。

次に、ターゲット企業の所在地や業種、従業員規模、現在の警備体制の有無といったデータをもとに絞り込むことで、効率的な営業が可能になります。地域密着型の機械警備会社であれば、まずは自社の営業可能エリアを明確にし、その中で営業先を優先順位づけすることが肝要です。
見込み顧客リストを作成する際には、インターネットの企業データベースや業種別名簿、商工会議所や異業種交流会などの情報源を活用します。また、既存顧客からの紹介や、過去の引き合いデータも貴重な資源となります。
このリストは、定期的に更新・整理を行い、顧客の動向や担当者の変更にも対応できるようにします。そうすることで営業活動が属人化せず、教育や育成の際にも有効なツールとなります。

さらに、顧客ごとに過去の接触履歴や商談進捗、ニーズの特徴などを記録しておくことで、より精度の高いアプローチが可能になります。これにより、営業活動のPDCAがスムーズに回るようになります。
営業ターゲットの絞り込みとリスト化の精度が高まれば、人材の限られた中小企業でも効率的な営業展開が可能となり、業績への寄与度も大きくなります。
したがって、営業活動のスタートラインとして、ターゲティングと顧客情報の整備をしっかりと行うことが、機械警備会社にとって極めて重要であると言えます。

初回訪問で信頼を得るための3つの準備ポイント

法人営業において初回訪問は極めて重要な局面です。特に機械警備会社のように信頼が重視される業界では、第一印象がその後の商談成否を左右すると言っても過言ではありません。
初回訪問で信頼を得るために準備すべきことは、大きく3つに整理できます。

第一に、訪問先企業の情報収集です。業種、設立年数、拠点数、従業員数、現在の警備体制、過去の事件や事故など、可能な限りの情報を事前に調査しておくことで、相手に合わせた提案やヒアリングが可能になります。

第二に、自己紹介と会社紹介の資料準備です。口頭の説明だけではなく、視覚的に理解しやすいパンフレットや導入事例集などを用意することで、相手の記憶に残りやすくなります。あわせて、自社の強みを明確に表現する言葉も用意しておくと、印象が深まります。

第三に、質問事項の仮説設計です。訪問先の業務内容に応じて、どのようなセキュリティ上の課題を抱えていそうかを想定し、的確な質問を準備しておくことで、会話の中に自然とニーズを引き出すことができます。

これらの準備が整っていれば、訪問時の受け答えにも自信が生まれ、話し方や表情、姿勢といった非言語的な部分にも良い影響を与えます。
結果として、顧客側も「この会社はしっかりしている」「信頼できる」といった印象を持つことになり、次のステップである見積もり依頼や再訪問につながる確率が格段に上がります。

また、準備の精度が高い営業担当者は、社内での教育や育成の模範となり、組織全体の営業力強化にも寄与します。
このように、初回訪問で信頼を得るための準備は、単なる事前作業ではなく、業績向上と経営基盤強化に直結する重要な活動であると認識することが大切です。

競合との差別化につながる提案内容とは?

中小規模の機械警備会社が法人営業で成果を出すためには、競合他社との差別化が不可欠です。多くの警備会社が同様のサービスを提供している中で、顧客に選ばれるための工夫が求められます。
まず、自社ならではの強みを明確に打ち出すことが第一歩です。たとえば、地域密着型のサポート体制や、緊急時の対応スピード、柔軟な契約条件などは、競合が提供しづらい差別化要素になります。

さらに、過去の導入実績や顧客の声を積極的に提示することで、信頼性の裏付けとなります。具体的な数値や改善効果を交えて提案すれば、法人顧客にとっても判断材料が増えます。
また、サービス内容そのものを差別化することも重要です。単なる警備機器の導入にとどまらず、運用サポートや教育研修の実施、定期レポートの提出など、トータルで価値を提供できる提案が効果的です。

加えて、顧客企業の業種や施設特性に応じたカスタマイズ提案も有効です。たとえば、医療機関向けには患者の安全を考慮したアプローチを行い、物流倉庫向けには夜間侵入リスクへの対応を重視するなど、きめ細かな提案が評価されます。

機械警備サービスと他の人材派遣や人的警備との連携提案も、総合力として評価されやすくなります。このような複合提案が可能であれば、価格競争だけに巻き込まれずに済むのです。
その結果、顧客の満足度が高まり、契約の継続率や紹介の発生にもつながります。これは業績の安定化と、人材の計画的な育成にも直結します。
このように、競合との差別化は営業活動だけでなく、経営全体に波及する重要な戦略であることを改めて認識する必要があります。

導入事例がなくても説得力を持たせる営業トークのコツ

中小規模の機械警備会社では、新規事業やサービスを立ち上げた直後に導入事例が乏しいことはよくあります。しかし、事例がないからといって営業活動ができないわけではありません。説得力のある営業トークを構築する工夫が重要です。
まず、顧客の課題やニーズにしっかりと寄り添った話し方を心がけることが大切です。事例がなくても「その企業にとっての価値」を丁寧に描くことができれば、共感を得ることが可能です。

また、自社での実験導入や、他業界での活用例などを参考情報として紹介することも有効です。実績とは異なりますが、「これだけのニーズに対応できる可能性がある」と伝えることは、十分な説得材料になります。

さらに、「なぜこのサービスを立ち上げたのか」という背景や、自社の理念、開発に至るまでの苦労話を交えることで、真剣さや本気度を伝えることができます。これにより、営業トークに人間味と信頼が加わります。

提案段階で「万一に備えた対応策」や「試験導入期間」を用意することで、顧客の心理的ハードルを下げることもできます。これは、営業活動において極めて実践的な方法です。
また、業務に対する真摯な姿勢や、問題解決のための教育・育成制度を紹介することも、自社の信頼性を伝える武器になります。

このような工夫を積み重ねることで、導入事例がなくても、法人顧客から信頼を得ることができ、結果的には業績や経営の安定にもつながります。
説得力のある営業トークは、必ずしも「事例の数」ではなく、「提案の質」と「相手の視点への理解」によって構成されるべきなのです。

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