施設警備会社のPMVV設定方法とは?

2025年7月17日配信

カテゴリ:
定着 育成 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。本コラムでは、「施設警備業を展開する中小企業の経営者・幹部・人事担当者」に向けて、経営の軸となるPMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー)をどのように設定し、業績や人材育成に活かすべきかを体系的に解説いたします。中小企業の経営力強化を目的に、実践的かつ平易な表現で詳しくご紹介いたします。

PMVVとは何か?警備業における重要性を理解する

PMVVとは、「Purpose(存在意義)」「Mission(使命)」「Vision(将来像)」「Value(価値観)」の頭文字を取った概念でございます。組織の方向性と一貫性を明示するための基本方針とされており、経営の判断軸として近年多くの企業で活用されております。

施設警備会社においても、業務の特性上、社会性と公共性が高い仕事であるため、PMVVの明文化は非常に効果的でございます。特に人材不足が深刻な中小企業においては、採用や育成、現場のモチベーション維持に向けた取り組みの基盤となります。

加えて、PMVVを定めることにより、経営幹部と現場スタッフ間で共通認識が形成されやすくなり、組織全体の統一感や方向性の共有が可能となります。これにより、施設警備の質を高め、顧客満足度や契約継続率の向上にも寄与することが期待できます。

経済産業省や中小企業庁でも、「中小企業が目指すべき経営方針の明確化」としてパーパス・ビジョンの明文化を推奨しております。今後の事業成長や業績向上を見据える中小警備会社にとって、PMVVは欠かせない経営資産となり得るものでございます。

施設警備会社がPMVVを設定する意義とは?

施設警備会社がPMVVを設定する最大の意義は、経営や現場運営の「軸」をつくることにございます。日々の判断や意思決定において、その拠り所となる思想や価値観を明文化することで、組織のブレを防ぐ効果がございます。

加えて、外部環境の変化が激しい現代において、短期的な売上や業績だけを追う経営には限界があるため、理念や方向性を社内外に示すことは中長期的な信頼構築につながります。

特に人材採用においては、PMVVが「働く意味」や「会社の考え方」を示す材料となり、共感を得た人材が集まりやすくなります。結果として、ミスマッチの少ない採用が実現され、離職率の低下にも寄与いたします。

現場の教育・育成においても、PMVVがあることで、行動指針の根拠が明確になります。単なるルールの押し付けではなく、会社として「なぜそれを大事にしているのか」という納得感を与えることができます。

このように、PMVVは経営、人材、教育、業績のすべてに影響を与える核となる要素であり、施設警備会社が永続的に発展していくうえで不可欠な要素といえるでしょう。

中小企業の経営におけるPMVV活用のメリット

PMVVは単なる理念の羅列ではなく、経営戦略における「実践ツール」として活用すべきでございます。中小企業の施設警備会社においても、以下のような具体的メリットが期待できます。

まず第一に、現場レベルでの意思決定や行動の基準が統一されるため、個人の判断によるばらつきが減少いたします。これは事故やトラブルの防止、サービス品質の安定にも直結します。

次に、社内コミュニケーションの活性化が挙げられます。PMVVを定期的に振り返り、共有することで、社員間の一体感や組織への帰属意識が高まる傾向にあります。

さらに、クライアントに対しても「この会社は何を大切にしているか」が明確になり、施設警備サービスの信頼性向上や継続契約にも良い影響を与えます。

経営者や幹部にとっては、PMVVがあることでブレない方針を維持しやすくなり、長期的な戦略立案や新事業展開の判断がスムーズになります。

このように、PMVVは経営や人材、仕事の質を支える不可欠な基盤となります。

パーパス(存在意義)の設定方法と事例紹介

パーパスは「自社がなぜこの世に存在するのか」を明確にする要素でございます。これは単なる目標ではなく、社会的な意義や価値提供を言語化するものでございます。

施設警備会社においては、「地域の安心・安全を守る存在である」などの表現が多く見られます。しかし、それだけでは差別化が難しく、自社ならではの視点を加える必要がございます。

たとえば、「人と社会の間に立ち、信頼を築く存在」や、「すべての人が安心して働ける空間を創ること」など、より広い視点でのパーパスが考えられます。

設定時のポイントとしては、1. 顧客の課題、2. 社会的な価値、3. 社員の共感という三要素を踏まえて言語化することが重要です。これにより、内外に共感されやすいパーパスとなります。

また、現場社員に「自社の存在意義とは何か」と問いかけるワークショップ形式での検討も非常に有効でございます。共に考えるプロセスそのものが育成・教育の一環となります。

ミッション(使命)を策定する際の視点と注意点

ミッションとは、「今、どのような役割を果たすべきか」を明確にする概念でございます。パーパスが抽象的な存在意義であるのに対し、ミッションはより実務的・行動的な内容を含みます。

施設警備会社におけるミッションとしては、「すべての施設利用者に安心を提供する」「事故ゼロを目指した巡回・点検の徹底」などが考えられます。

ミッションを策定する際には、次の視点が重要です。1. 現場で日々行われている仕事をどう定義するか、2. 顧客や地域社会にどう貢献しているか、3. 今後の経営の軸としてどう展開していくかです。

注意点としては、「単なる業務の羅列」や「綺麗事になりすぎる表現」を避け、具体性とリアリティを持たせることが求められます。社内に浸透しなければ意味を成しません。

また、ミッションは人材採用時の魅力訴求にもなります。「この会社で働く意味」が明確であれば、応募者の質や志向性にも良い影響を与える可能性が高まります。

ビジョン(将来像)はどのように描くべきか?

ビジョンとは、「将来的に自社がどうなっていたいか」という未来像でございます。パーパスやミッションと異なり、ビジョンは数年から十数年後を見据えて定める内容が中心となります。

施設警備会社においては、「地域で最も信頼されるセキュリティ企業となる」「警備と接客を両立させた安心空間の創出企業を目指す」などが典型的なビジョンとなり得ます。

ビジョンを描く際には、現状の課題から逆算して理想の姿を具体化することが重要です。抽象的な未来像ではなく、事業規模、業績、人材体制など、定量・定性的に語れるビジョンが好ましいです。

また、ビジョンは社内に夢や希望を与えるものでなければなりません。現場スタッフが「この会社で働き続けたい」と思える魅力的な未来を示すことが、教育・育成や定着率の向上にもつながります。

中小企業では「今のことで精一杯」となることも多いですが、将来を描けなければ人材も顧客も集まりません。ビジョンは経営の羅針盤であり、計画的な成長を支える要素でございます。

バリュー(価値観)の言語化がもたらす効果とは?

バリューとは、組織として大切にすべき価値観や判断基準を明文化したものでございます。個々の従業員が業務を遂行する上で、どのような姿勢や行動を期待されているのかを明示する役割があります。

施設警備会社においては、「誠実」「責任感」「気配り」「冷静な判断」「時間厳守」といった現場に即した価値観がよく見られます。

バリューを策定するメリットは、教育・育成の一貫性が確保できる点にございます。たとえば、新人教育で「なぜそれが重要なのか」を説明する際の根拠にもなります。

また、日々の業務評価においても、バリューを基にフィードバックを行うことで、主観的な判断を避けられ、評価の公平性が保たれやすくなります。

注意点としては、言葉だけが立派になりすぎないようにすることです。実際の現場で実践可能な言葉に置き換えることが、浸透の鍵を握ります。

現場と経営層の認識を一致させるPMVV策定プロセス

PMVVは経営層だけで考えるものではなく、現場の声を取り入れながら全社的に検討すべきものでございます。特に施設警備のような現場主導型のビジネスでは、現場との乖離を防ぐ必要があります。

まず初めに、経営層の思いや戦略をベースに素案を作成することが一般的ですが、それを現場社員との対話を通じてブラッシュアップすることが重要です。

現場ヒアリングやワークショップの開催により、社員自身が自社の存在意義や使命を言語化する経験を通じて、納得度や理解度が格段に高まります。

そのプロセスそのものが、教育や人材育成にも直結いたします。理念が一方的に押しつけられるものではなく、自らが参加してつくったものだと感じられるからこそ、行動につながるのでございます。

策定したPMVVは、社内報や朝礼、社内掲示などを通じて継続的に共有し、日常業務に根付かせていく必要がございます。

警備スタッフにPMVVを浸透させるための教育手法

PMVVを策定しただけでは意味がございません。それを現場の警備スタッフにどのように浸透させるかが、施設警備会社の実務上の最大の課題となります。

教育手法としては、まず新入社員研修の初期段階でPMVVを丁寧に説明し、言葉の定義や背景を理解してもらうことが重要です。

また、OJTの中でも、日々の業務がPMVVとどう関わっているかを定期的に確認し、行動と理念の接続を強化します。

ミーティング時にPMVVを題材とした共有の時間を設ける、あるいは「今週のバリュー実践エピソード」などの発表制度を導入するのも効果的です。

また、幹部社員やリーダー層が率先してPMVVを体現することで、下の世代にも自然と文化として伝播いたします。

浸透は一朝一夕ではございませんが、継続的かつ多角的な教育施策により、確実に根付かせることが可能です。

PMVVを基盤とした採用・育成戦略の立て方

PMVVを軸にした採用・育成戦略を展開することで、施設警備会社の組織力は格段に強化されます。まず採用の段階では、面接時にPMVVをしっかり説明し、応募者の共感を確認することが大切です。

単に給与や待遇面だけでなく、「この会社は何のために存在し、どこへ向かうのか」という話に共感できる人材は、長期的に定着しやすい傾向にあります。

育成においては、PMVVを基盤としたカリキュラムの設計がポイントです。単なるスキル伝達だけでなく、価値観の共有を目的としたプログラムを組み込みましょう。

また、定期的な振り返りや、PMVVに基づいたフィードバックを行うことで、現場での行動が理念と一致しているかを確認できます。

採用から育成、定着までをPMVVで一貫させることで、組織としてのまとまりが生まれ、業績にも良い影響を与えるようになります。

現場のモチベーション向上とPMVVの関係性

施設警備会社において、現場スタッフのモチベーションを高めることは大きな課題でございます。その際にPMVVは、非常に効果的なツールとなります。

なぜならば、人は「意味のある仕事」や「自分が社会に貢献している実感」が得られるとき、やりがいを感じやすくなるからです。

PMVVを浸透させることで、自分の業務が会社の理念とどう関わっているかが理解でき、日々の仕事が単なる作業ではなく「価値ある行為」として再定義されます。

加えて、社員同士が共通の価値観を持つことで、現場の人間関係も良好になりやすくなります。相互理解や信頼の土壌が生まれ、結果として離職率の低下につながります。

モチベーションの向上は、教育や研修では補えない部分でもあり、PMVVのような内発的動機付けの仕組みが効果を発揮いたします。

PMVVと営業戦略の連動で実現するブランディング

PMVVは内部のマネジメントだけでなく、外部に対する営業やブランディングにも大きく関与いたします。

たとえば、営業時に「我が社はこのような理念をもって業務を行っております」と語れるかどうかで、顧客の信頼や印象は大きく変わります。

単なる価格競争ではなく、理念や価値観に共感してもらえる顧客を獲得できれば、長期的かつ安定的な取引関係が築きやすくなります。

また、PMVVに共感した企業からの紹介や口コミも生まれやすく、マーケティングの基盤強化にも寄与いたします。

このように、営業戦略にPMVVを取り入れることで、単なる受注活動にとどまらず、企業のブランドそのものを形成していくことが可能です。

競合他社と差別化できるPMVVの打ち出し方

施設警備会社はサービス内容に大きな違いが出にくいため、差別化が難しい業界でもあります。そこで、PMVVの個性が差別化の大きな武器となります。

「どういう価値を社会に届けているのか」「どのような文化を持っているのか」といった点を明確に打ち出すことで、他社との違いがはっきりします。

また、従業員が語る「うちの会社らしさ」を収集し、それを反映したPMVVにすることで、よりオリジナル性の高いメッセージになります。

差別化には奇抜さではなく、共感と一貫性が重要です。地道な取り組みの積み重ねが、信頼あるブランドを形成していきます。

経営の軸としてPMVVを活かすための運用ポイント

PMVVは一度策定したら終わりではございません。定期的に見直し、現場の変化や社会の状況に応じて柔軟に更新する必要がございます。

また、日常的にPMVVを社員とともに確認する機会を設けることで、理念の形骸化を防げます。

経営層のリーダーシップも重要であり、自らが理念を体現する姿勢を見せることが、組織への信頼を生む要因となります。

結論・まとめ

本コラムでは、施設警備会社が経営の軸としてPMVVをいかに設定し、どのように活用していくべきかを段階的に解説してまいりました。

PMVVの策定と実践は、人材の採用・育成から現場のモチベーション向上、業績改善に至るまで幅広い経営効果を生み出します。

中小企業の限られた資源の中でも、理念と行動を一貫させる経営こそが、持続可能な企業成長の鍵であるといえるでしょう。

ぜひ、貴社独自のPMVVを策定し、施設警備業界において強い存在感を発揮されることを心より願っております。

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