【警備業界必見!】出入管理・入退室管理の方法とは?

2025年7月18日配信

カテゴリ:
営業 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。本コラムは、警備業を展開する中小企業の経営者・幹部・人事担当者を対象に、出入管理や入退室管理の方法や導入のポイントを詳しく解説します。業績向上や人材育成、安全な職場環境の構築に役立つ知識を提供します。

出入管理・入退室管理とは何か?基本概念を整理する

出入管理とは、建物や施設に誰がいつ出入りしたかを記録し、必要に応じて制限する仕組みを指します。
入退室管理は、その中でも建物の特定区域や部屋単位での出入りを管理する行為を意味します。

この2つは警備の中核を担う業務であり、情報セキュリティや人命安全に直結する役割を持っています。
例えば、企業内での重要資料の保管場所や、外部委託業者の作業区域への立ち入りなどを適切に制御することで、事故や情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

中小企業では人材が限られているケースが多いため、こうした管理の仕組みを業務に組み込むことで、効率的な経営につながるといえます。

特に昨今では、法令遵守や働く環境の安全性確保が社会的に求められており、これに応える手段として出入管理の重要性が再認識されています。
そのため、中小の警備会社においても、出入管理の基礎知識は経営や現場運営に欠かせない要素といえるでしょう。

出入管理を適切に行うことで、従業員の規律意識が高まり、業務効率の改善にも寄与します。
また、管理の透明性が高まることで、社内の信頼関係を強固にする効果も見込めます。

今後、警備業界が持続的に発展していくためには、出入管理の基本的な理解が不可欠であると考えられます。

警備業務における出入管理の重要性とは

警備業務において出入管理は、単なる入退出の記録を超えて、安全確保という本質的な目的を持っています。
なぜなら、無関係者や不審者の侵入を防止することが、警備の最重要課題の一つだからです。

たとえば、工場や研究所など機密性の高い場所では、誰がどこに入ったのかを正確に把握する必要があります。
それによって、万一の事故や不正が発生した際にも、迅速に原因を特定することが可能となります。

また、警備員の仕事を効率化するという観点からも、出入管理は役立ちます。
人力だけで出入りを確認するのは限界がありますが、システムを導入することで負担が軽減され、より広範囲での警備が可能になります。

中小の警備会社においては、業務の効率化が経営課題となりがちです。
その中で、出入管理を強化することで、人手不足への対応にもなり得ます。

加えて、出入管理がしっかりしている企業は、顧客からの信頼を得やすくなります。
契約先に対して「安全管理ができている会社」という印象を与えることは、営業活動や人材採用にも好影響を与えます。

このように、出入管理は警備業務の基盤であり、組織としての信頼性を高める手段でもあります。
結果として、それが警備会社の業績向上にもつながるという視点を忘れてはなりません。

入退室管理が企業のセキュリティ強化につながる理由

入退室管理は、施設内のセキュリティを向上させる手段として極めて効果的です。
企業がセキュリティを強化したいと考えた際、まず見直すべきなのが「誰がどこにアクセスできるのか」という点です。

たとえば、オフィスにおける機密情報の保管庫や、ITサーバールームなどは、限られた人材のみが入れるよう制御すべき場所です。
こうした区域へのアクセスを厳密に管理することで、情報漏洩や内部不正のリスクを大幅に低下させられます。

また、入退室履歴を記録することで、万一の問題発生時にも「いつ・誰が・どこへ」出入りしたかを明確にできます。
この情報は、社内の監査や法的対応の場面でも重要な証拠となるでしょう。

加えて、従業員の行動をある程度可視化することにより、勤務態度や勤怠管理の補完にもなります。
これは人材育成や教育面においても有用で、特に新人警備員の行動チェックなどに役立ちます。

入退室管理は、単に防犯のためだけでなく、経営戦略の一部としても活用可能です。
人材が適切に配置されているか、業務が円滑に遂行されているかを確認する手段として、経営者にも活用していただけます。

結果として、入退室管理の整備は、会社の経営基盤そのものを強化することにつながるのです。

中小警備会社における出入管理の現状と課題

中小企業庁の定義に基づけば、中小の警備会社は資本金3億円以下または従業員300人以下の企業を指します。
こうした企業では、人的・金銭的リソースが限られていることが多く、出入管理に手が回らない現場も少なくありません。

特に、手書きでの出入り記録や口頭による確認など、旧来のアナログな運用に頼っている企業が依然として存在します。
その結果、記録の精度や証拠能力が低下し、万一の際の責任追及や再発防止が難しくなるという問題が発生します。

また、人材の流動性が高い職場においては、出入りするスタッフの管理が煩雑化する傾向があります。
日雇いの警備員や外注作業員が出入りするケースでは、個人ごとの履歴管理が困難になることもあります。

一方で、出入管理をシステム化したいと思っても、予算や運用スキルの面で障壁があるのも事実です。
導入後の教育体制や保守対応にまで手が回らず、形だけの運用になってしまう例も見受けられます。

さらに、警備会社自身が委託先の出入管理業務を担っている場合は、他社の施設ルールに合わせる必要もあり、標準化が難しい側面もあります。
それゆえ、中小の警備会社では、「現場によって管理体制が異なる」という非効率な状態に陥りがちです。

今後は、課題を明確に把握した上で、段階的な改善を図ることが必要です。
無理のない範囲から、出入管理の最適化を進める姿勢が求められています。

アナログ式の出入管理方法とそのメリット・デメリット

アナログ式の出入管理とは、紙の名簿や伝票、手動での記録台帳などを用いて、出入りを管理する方法です。
現在でも多くの中小企業や警備会社がこの方式を採用しています。

その最大のメリットは、初期コストが非常に安い点です。
専用の機器やシステムを導入せずとも、すぐに運用を開始できるという利点があります。

また、高齢のスタッフでも扱いやすく、教育や育成の負担が少ないという点も特長です。
一方で、記録の正確性や改ざん防止という観点では、非常に脆弱な面を持っています。

記入ミスや記録漏れ、記録の改ざん、第三者による不正な代筆などが発生しやすく、セキュリティ面では不安が残ります。
さらに、膨大な紙記録を保管・検索する労力も無視できません。

業績拡大に伴い人材が増えてくると、手書き記録では業務負担が急激に増加する恐れがあります。
また、非常時に記録を即座に確認できないと、トラブル対応が後手に回ってしまうリスクもあります。

アナログ式の出入管理は、短期的・限定的には有効ですが、将来的な成長や安全強化を見据えると限界があることを理解しておくべきです。

ICカード・テンキーなど電子式入退室管理の特徴とは

電子式の入退室管理は、ICカードやテンキーなどを用いて扉の開閉を制御する仕組みです。
中小の警備会社でも比較的導入しやすい代表的な方式といえるでしょう。

ICカード方式では、個人ごとに発行されたカードをかざすことで認証が行われます。
テンキー式では、事前に登録された暗証番号を入力して扉を開ける仕組みです。

いずれの方式も、利用者を限定できる点と履歴の自動記録という利点があります。
また、管理者がリモートで設定や履歴確認を行えるシステムも増えており、柔軟な運用が可能です。

警備業務との親和性も高く、巡回業務や施錠確認との併用に適しています。
一方で、ICカードの紛失や暗証番号の漏洩といったリスクも存在します。

加えて、利用者が多い現場ではカードの再発行や番号変更が頻繁に発生し、管理が煩雑になる恐れもあります。
導入前には、どの方式が自社の現場に適しているかを十分に検討することが大切です。

また、導入後の教育やマニュアル整備を怠ると、現場での混乱やトラブルの原因となるため注意が必要です。

顔認証・生体認証による次世代の入退室管理とは

近年注目されているのが、顔認証や指紋認証といった生体認証を活用した入退室管理システムです。
これらは「なりすまし」を防ぐ高精度な認証手段として、警備業界でも導入が進みつつあります。

顔認証は、登録された顔情報とリアルタイムの映像を照合することで、扉の開閉を制御します。
指紋認証や虹彩認証などもありますが、接触が不要な点で顔認証が特に注目されています。

生体情報は個人固有のため、ICカードのような盗難や紛失のリスクがありません。
また、履歴の記録も高精度で残るため、不正侵入の検出にも強みを発揮します。

一方で、初期導入費用が高額になりやすく、精度の維持には定期的なメンテナンスが欠かせません。
また、認証に失敗した際のバックアップ手段(例:管理者の許可)も必要になります。

中小の警備会社が導入する場合は、限定的なエリアから試験的に導入するのが現実的です。
将来的な業務効率化や信頼性向上を目指すのであれば、生体認証は有力な選択肢となるでしょう。

クラウド型入退室管理システムの導入メリット

クラウド型の入退室管理システムは、インターネット経由でアクセス可能な管理機能を提供します。
従来のオンプレミス型と比べて、柔軟性と拡張性に優れている点が大きな魅力です。

警備会社が複数の現場を管理している場合、現地に行かずとも出入履歴や設定変更ができる点が便利です。
また、スマートフォンやタブレットからのアクセスも可能で、出先での確認や運用が容易になります。

加えて、クラウド型は初期費用が抑えられる傾向にあり、月額制で段階的に導入できるプランも多く存在します。
システムアップデートが自動で行われるため、最新のセキュリティ対策も維持しやすいという利点があります。

教育や育成面でも、視覚的なUIで操作できるため、機械が苦手な人材でも習得しやすい仕様となっています。
さらに、社内の情報システム担当者が少ない中小企業にとって、運用の外部委託ができる点もメリットです。

一方で、インターネット障害時やセキュリティの不安がある企業には、冗長化や二重認証などの補強策が求められます。
導入にあたっては、データの保存場所や利用者のアクセス範囲を明確にしておくことが重要です。

このように、クラウド型は中小警備会社の業務に適応しやすい仕組みであり、経営効率と業績向上の一助となるといえます。

現場別に見る!オフィス・工場・マンションでの管理手法の違い

出入管理の方法は、現場の性質や業務内容によって最適な形が異なります。
ここでは代表的な3つの現場、オフィス・工場・マンションに分けて比較します。

オフィスでは、社員や来客が多く出入りするため、ICカード式や受付連携型のシステムが一般的です。
部外者の立ち入り防止や、情報漏洩のリスク軽減に重点が置かれています。

一方、工場の場合は24時間稼働や大型設備のある現場が多く、入退室と合わせて安全管理が求められます。
そのため、出入時の顔認証や安全講習との連携、作業許可証管理など、複合的な運用が必要になります。

マンションや集合住宅では、住民の安全を守るため、防犯カメラやオートロックと組み合わせたシステムが重要です。
管理人の不在時にも対応できる、遠隔操作型の管理手法が求められます。

警備会社が複数の現場に対応する際には、現場ごとの特性に応じた設計・教育・マニュアルの整備が必要です。
標準化を図りながらも、柔軟なカスタマイズができるよう体制を構築しておくことが望まれます。

出入管理システム導入時に必要なコストと運用体制

出入管理システムの導入には、ハードウェア、ソフトウェア、工事費、運用費の4つのコストが発生します。
たとえばICカード式の場合、本体装置・カードリーダー・制御盤などで数十万円からスタートします。

加えて、設置工事費や配線工事などの初期投資も必要であり、クラウド型であってもインフラ整備は欠かせません。
月額のクラウド利用料も視野に入れるべき要素です。

運用体制としては、管理者の設定権限や履歴確認、障害発生時の対応フローを明確にしておくことが重要です。
特に中小の警備会社では、現場担当者と本部の連携体制を整備することが導入成功の鍵となります。

また、運用開始後の人材教育や業務フローの再構築も並行して実施する必要があります。
事前にコストを見積もり、将来的な保守費用や人材育成の工数も考慮することで、無理のない導入が可能となります。

警備員との連携を強化する出入管理体制の構築方法

出入管理システムは、それ単体で機能するのではなく、警備員の仕事と連動させることで真価を発揮します。
たとえば、システムで異常が検知された際に、警備員が即時対応する運用体制を整えておくことが重要です。

また、定期的に出入り記録を確認し、警備員の巡回記録と突き合わせることで、不審な動きの早期発見につながります。
警備員が現場での目視と機器監視の両面から確認できる体制が理想的です。

そのためには、現場で働く警備員にもシステム操作や対応フローを教育しておく必要があります。
人材の教育・育成を計画的に行い、スムーズな運用を目指すことが大切です。

不審者侵入・内部不正を未然に防ぐ運用ルールの整備

システム導入だけでは、出入管理の効果は限定的です。
それを最大限活かすためには、ルールの整備と人材の意識づけが不可欠です。

たとえば、IDカードの貸し借りを禁止する、暗証番号を定期的に変更する、定期的な監査を行うなどの運用ルールが挙げられます。
これらのルールを文書化し、社内教育として継続的に実施することが必要です。

また、違反行為が発生した際のペナルティや再教育フローも明確にしておくことで、全体の統制力が高まります。

出入履歴の記録・活用によるトラブル抑止効果とは

出入履歴は、過去の行動を客観的に証明する「記録」としての役割を果たします。その履歴がトラブル発生時に即座に取り出せれば、事実確認や責任の所在を明確にできます。

また、従業員や外部業者にも「記録が残っている」という意識が働くことで、不正抑止効果が生まれます。これは企業全体のコンプライアンス向上にもつながる取り組みです。

警備業法や個人情報保護法との適合性を確認する

出入管理においては、警備業法および個人情報保護法の遵守が欠かせません。
とくに顔認証や履歴管理においては、個人情報の取り扱いに細心の注意を払う必要があります。

システムの導入前に、取り扱う情報の範囲や保存期間、利用目的を明確にし、利用者への説明責任を果たすことが求められます。
また、警備業務として委託を受ける場合は、契約内容と実務の整合性にも注意が必要です。

中小警備会社が出入管理を強化するための実践ステップ

  1. 現状把握と課題の洗い出し

  2. 優先度の高い管理対象エリアの選定

  3. システムの比較検討と試験導入

  4. 人材教育と社内ルールの策定

  5. 段階的な本格運用と定期的な評価

これらを着実に実行していくことで、中小企業でも無理なく出入管理体制を強化できます。
特に教育や人材育成に力を入れ、継続的な改善を図ることが成功の鍵となります。

結論・まとめ

警備業界において出入管理・入退室管理は、安全と信頼の根幹を支える重要な業務です。
中小の警備会社にとっても、経営や業績の安定化、人材の育成、安全確保のすべてに直結します。

本コラムで紹介した各種の管理手法やシステム導入のステップを参考に、自社の課題に合わせて柔軟に対応を進めていただければ幸いです。
経営資源が限られているからこそ、小さな一歩からでも取り組むことが、持続的な成長と信頼獲得につながることでしょう。

これからの警備会社には、より高いレベルの安全意識と実行力が求められます。
その第一歩が、「出入管理の見直し」であることを、ぜひ今一度ご認識ください。

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