【中小企業向け】大卒人材の採用で変わるビルメンテナンス経営の未来とは

2025年7月23日配信

カテゴリ:
ビルメンテナンス業界 営業 定着 採用 育成

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。中小規模でビルメンテナンス業を営む企業では、人材不足が経営課題の中心となっています。特に若年層や大卒人材の確保は、今後の業績向上や経営革新に直結します。本コラムでは、ビルメンテナンス会社が大卒人材を採用することによって得られる経営的なメリットや教育・育成のポイント、組織の活性化など、未来を変える実践的な取り組みを徹底的に解説します。

ビルメンテナンス業界における人材難の現状とは?

現在、ビルメンテナンス業界では深刻な人材不足が続いております。特に中小企業においては、若年層の応募が極めて少なく、定着率の低さも大きな課題となっています。

加えて、高齢化が進行しており、現場作業員の年齢構成に偏りが見られます。そのため、安定的な業務運営に支障をきたす事例も多くなっています。

一方で、業界全体の業務は増加傾向にあります。高層ビルの増加や、再開発に伴う施設管理のニーズは拡大しています。仕事はあるのに人材がいないという、需給バランスの崩れが起こっているのです。

このような構造的課題に対して、多くの中小ビルメンテナンス会社が抜本的な解決策を見出せていない状況です。

さらに、求人情報を出しても応募が集まらない、仮に採用できてもすぐに辞めてしまうといった事象も頻発しています。これは、給与条件だけでなく、職場環境や教育体制に対する期待とのギャップが原因です。

そのため、従来の採用方法や経営姿勢を根本的に見直す必要が出てきております。

今こそ、業界としての課題を把握し、戦略的に採用と育成を行っていくことが求められています。

この中で、大卒人材の採用が持つ可能性に注目が集まっています。

中小企業が抱える採用課題と大卒人材の必要性

中小企業における採用課題は、応募数の少なさにとどまりません。採用しても短期間で離職してしまう、思ったように育成が進まない、将来の幹部候補が見つからないといった、構造的な課題が横たわっています。

特にビルメンテナンスの仕事は「肉体労働で地味」「専門性が低い」という先入観を持たれやすく、大卒人材からは敬遠されがちです。しかし実際には、顧客対応や品質管理、安全衛生管理など、マネジメント視点が必要とされる重要な役割も多く存在します。

また、大卒人材には論理的思考力や課題解決能力、情報収集力などが備わっているケースが多く、将来的な現場責任者や営業責任者、管理職候補としてのポテンシャルがあります。

大卒人材を採用することで、業務効率化や教育体制の改善、社内の意識改革など、経営全体にプラスの波及効果をもたらすことができます。

中小企業がこのような人材を獲得し、うまく育成していくことが、今後の経営の安定と発展に繋がるのです。

なぜ今、大卒人材の採用が経営戦略となるのか?

昨今の人材市場においては、大卒人材の働き方に対する価値観が多様化しています。年功序列よりも実力評価を重視し、安定志向よりも成長環境を選ぶ傾向が強まっています。

これにより、中小企業でも「成長機会がある職場」であれば、積極的に入社を希望する若手大卒人材が増えつつあります。

また、若手大卒人材はデジタルリテラシーが高く、SNS運用やクラウドサービス、簡易なデータ分析などを自ら学んで活用できる人も多くいます。こうした力は、従来のビルメンテナンス会社の経営や現場運営において大きな変革をもたらします。

したがって、大卒人材の採用は単なる人手確保ではなく、将来の事業展開を見据えた経営戦略の一環と位置付けるべきなのです。

さらに、社内に若手の風を入れることにより、既存社員の刺激にもなり、全社的な意識変革をもたらすきっかけとなります。

大卒人材がもたらす業務改善と業績向上の好循環

大卒人材が業務に携わることで、様々な改善提案が現場から自然と上がってくるようになります。これは、彼らが論理的に物事を捉え、現場の問題点を構造的に考える力を持っているからです。

たとえば、清掃手順の標準化や作業時間の見直し、顧客対応マニュアルの整備など、現場改善に繋がる提案が出てくる可能性があります。

また、業務日報をExcelではなくクラウド上で共有することで、報告業務の効率化や情報の一元管理が可能になります。これは、業績にも直結するポイントです。

こうした改善の積み重ねは、クライアント満足度の向上に繋がり、結果として契約継続や新規受注の増加に結びつきます。

さらに、数値管理やKPI設定の文化を導入することで、業績の見える化が実現され、経営判断のスピードも向上します。

このように、大卒人材の活用は業務改善だけでなく、ビルメンテナンス会社の経営全体に良い循環を生み出す可能性があるのです。

若年層採用による組織の活性化とイノベーション効果

大卒人材の多くは20代前半から半ばの若年層です。彼らを組織に迎え入れることで、社内に新しい価値観や発想が持ち込まれます。

中小ビルメンテナンス会社は、ベテラン社員が多くを占めているケースが一般的です。若手が入ることで、年齢のバランスが整い、社内のコミュニケーションにも多様性が生まれます。

また、若手ならではの柔軟な発想は、現場にイノベーションをもたらします。業務改善提案やSNSを活用した求人・営業活動など、今までにないアイデアが実行される土壌が育ちます。

若年層は成長意欲が高く、任された仕事には責任感を持って取り組む傾向があります。この姿勢が既存社員にも刺激を与え、組織全体の士気を高めることができます。

さらに、若手の存在が将来の幹部候補や後継者育成にもつながります。継続的な育成によって、持続可能な経営が可能になります。

組織における世代交代を円滑に進めるためにも、若年層の採用は経営上重要な戦略といえます。

中小ビルメンテ企業が大卒人材に選ばれるための条件

大卒人材が中小企業を選ぶ理由は、給与の多寡だけではありません。成長できる環境、裁量のある仕事、社長や幹部との距離の近さなど、職場の「学び」や「信頼関係」に重きを置く傾向があります。

そのためには、会社としてビジョンや価値観を明確に打ち出す必要があります。なぜこのビルメンテナンス会社は存在するのか、どんな社会的役割を担っているのかを、採用段階からしっかりと伝えることが重要です。

また、社員の声を積極的に取り入れる風土も、大卒人材には魅力的に映ります。意見が通る、チャレンジができるという職場環境は、若手の定着率を高める要因となります。

応募時の会社説明、面接での誠実な対応、入社後のフォローアップといった一貫した丁寧な姿勢が、採用の成功を左右します。

中小企業であっても、理念や想いを明確に伝え、共感を得られる場づくりを行うことで、大卒人材から選ばれる会社になれるのです。

給与・キャリアパスの設計が採用成功のカギとなる理由

大卒人材にとって、給与がすべてではありませんが、将来的なキャリアや収入イメージが見えることは大切な要素です。

例えば、入社1年目は現場業務を習得、3年目にサブリーダー、5年目でリーダー、10年以内に幹部候補へといったキャリアパスを明示することで、安心して働くことができます。

また、資格取得支援や外部研修、ジョブローテーション制度を取り入れることで、成長の道筋を用意することが可能です。

給与体系についても、年功的ではなく、成果や役割に応じて昇給する制度に切り替えることで、やる気を維持できます。

中小ビルメンテナンス会社にとって、採用後の人材定着は最重要課題です。そのため、キャリアや処遇についての設計は、初期段階からしっかりと構築すべき事項となります。

教育・育成体制の構築で離職を防ぐ方法とは?

せっかく採用した大卒人材も、育成体制が整っていなければ短期間で離職してしまいます。

教育・育成の初期段階では、OJT(On the Job Training)だけでなく、座学や外部研修も併用することで、業務理解を深めさせることが重要です。

また、現場配属前に「先輩同行」や「導入期間」をしっかり設けることで、安心して仕事に入ることができます。

メンター制度や定期的な面談を取り入れることで、心理的な不安や仕事への疑問も早期に解消できます。

教育とは単なる業務習得ではなく、「どうすれば活躍できるか」を共に考えるプロセスです。

ビルメンテナンス会社においても、体系的な教育制度を整備し、育成に本気で取り組むことで、人材定着率を大きく高めることが可能になります。

大卒人材を活用した営業力・提案力の強化戦略

大卒人材の特性として、論理的な思考やプレゼンテーション力、資料作成能力が挙げられます。

これらの能力は、ビルメンテナンス会社の営業部門や企画部門で大きな力を発揮します。

たとえば、見積書の作成に加え、サービスの提案書を分かりやすく整理して顧客に提示することができれば、他社との差別化に繋がります。

また、クライアントへの定期報告の際も、課題と改善提案を論理的にまとめられる人材がいれば、信頼度は一段と高まります。

営業や提案活動において、質の高い資料を用いながら説明できることは、業績向上に直結するスキルです。

そのため、大卒人材を営業・提案の核として活用することが、これからの経営には重要となります。

DX推進の担い手としての大卒人材の可能性

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、IT技術を活用して業務効率化や企業変革を図る取り組みを指します。

ビルメンテナンス業界においても、報告業務のデジタル化、スタッフの勤怠管理の自動化、顧客対応のオンライン化など、多くの場面でDXの余地があります。

大卒人材はこうしたIT技術に親しんでおり、クラウドツールの活用や業務フローの改善提案ができる存在です。

中小企業でDXを推進する際には、現場に近く、かつ新しい技術に精通した若手人材が不可欠です。

現場作業とIT活用の橋渡し役として、大卒人材はまさに適任と言えるでしょう。

新卒採用とインターンシップを活用した母集団形成術

採用活動において、応募数の確保は最初のハードルです。中小企業にとっては、まず知ってもらう工夫が必要となります。

その中で有効なのが、インターンシップの活用です。短期でも構わないので、現場体験の場を用意することで、学生の業界理解が深まります。

また、インターン生が社内の雰囲気や社員の人柄に魅力を感じれば、自然と入社意欲も高まります。

新卒採用においては、学校との連携や学内説明会、合同企業説明会への参加も有効です。

採用専用のページや動画コンテンツを用意することで、オンライン上でも魅力を伝えることができます。

こうした継続的な取り組みにより、将来の人材確保に向けた母集団を少しずつ構築していくことが可能になります。

採用ブランディングと企業認知度向上の実践方法

中小のビルメンテナンス会社が大卒人材を採用するうえで、最大の課題は「知名度の低さ」です。学生にとって企業名が知られていないと、選択肢にも入りません。

そのため、採用ブランディングの取り組みが欠かせません。まずは、自社の魅力や強み、働き方、社員の声などを明文化し、WEBやSNS、採用パンフレットなどに活用します。

また、若手社員が働く姿を動画で紹介することで、視覚的に職場の雰囲気を伝えることもできます。文字情報よりもイメージ重視の世代には有効です。

さらに、就活イベントへの出展や、大学キャリアセンターとの関係構築も有効です。講演機会を得るなどして、「この業界でも成長できる」というメッセージを発信することで、印象づけが可能です。

ビルメンテナンス会社が学生に選ばれるためには、見える形で「自分が成長できる企業」だと示すことが必要なのです。

採用成功事例から学ぶ、中小企業の実践ポイント

実際に大卒人材の採用に成功しているビルメンテナンス会社では、共通して以下のポイントを実行しています。

1.社長自らが採用活動に関わり、学生と直接対話している
2.採用パンフレットやHPに、社員のリアルな声を載せている
3.入社後の教育制度やキャリアパスが明確になっている
4.業務にITや改善活動を取り入れ、変革意欲を伝えている
5.待遇や働き方について、誠実かつ透明な情報提供をしている

これらの取り組みを続けることで、数年で若手社員の構成比が増え、会社全体の雰囲気が一変したという事例も多く報告されています。

成功の背景には、「人材こそが最大の資産」という経営理念があります。経営者が採用と育成を経営の中心に据えることが、結果につながっているのです。

採用した大卒人材が辞めない組織文化の作り方

大卒人材の採用に成功しても、数年で離職してしまっては意味がありません。そのためには、社内の「組織文化」の見直しが必要です。

たとえば、年功序列ではなく成果を認める文化、失敗を許容し挑戦を支える文化、若手の声を真剣に受け止める文化などが求められます。

また、上司との距離が近く、定期的にキャリアについて話せるような面談制度も有効です。人事評価のフィードバックも丁寧に行うことで、納得感を高めることができます。

飲み会や行事などの参加を強要する風土は、むしろ若手のストレスになります。任意性と自由度を尊重する柔軟な価値観が必要です。

「働き続けたい」と思える環境づくりには、給与や制度だけでなく、毎日の人間関係や職場の空気が大きく影響しています。

大卒人材が安心して働けるよう、会社全体で意識を変えていくことが重要です。

結論・まとめ

ビルメンテナンス業界において、大卒人材の採用は単なる「若者の確保」にとどまらず、企業文化・経営基盤そのものを変革する大きな機会となります。

中小企業だからこそ、若手人材の力が即戦力となり、組織の活性化や業績向上に直結する可能性を秘めています。

そのためには、「選ばれる会社」になるための採用ブランディング、教育・育成体制の整備、キャリアパス設計、柔軟な組織文化づくりが不可欠です。

また、大卒人材の採用を経営戦略と捉え、中長期的に人材投資を行っていく視点が求められます。

ビルメンテナンス会社がこれからの10年を生き抜くためには、従来の延長線ではなく、未来を見据えた人材戦略が不可欠です。

ぜひ、自社の採用活動を再点検し、経営の未来を切り拓く一手として、大卒人材の活用を積極的にご検討ください。

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