株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。本記事は、中小規模の2号警備会社の経営者・幹部・人事担当者向けに、現場の安定稼働を実現する「シフト管理」の実践手法を詳しく解説します。警備員不足や現場対応力の確保など、業績に直結する課題の解決策をご提案いたします。
2号警備におけるシフト管理の重要性とは?
2号警備業務は、交通誘導やイベント警備など、特定の日時・場所での稼働が求められる業態です。したがって、適切なシフト管理は現場の安全性と顧客満足に直結いたします。
現場に必要な人員を正確に配置できなければ、契約違反や事故リスクが生じてしまいます。また、警備員の労働環境にも大きく影響し、無理なシフトが続けば離職の原因ともなります。
そのため、警備会社にとってシフト管理は、単なるスケジュール作成以上の経営課題と言えます。
中小企業の場合、人事専任者がいないケースも多く、現場責任者がシフト調整を行うこともあります。しかし属人的な管理はミスの温床となりやすく、体制強化が求められます。
近年では、シフト管理の正確性が契約更新の判断材料となることもあります。顧客からの信頼を得るためにも、運用レベルの向上が欠かせません。
このように、2号警備業務においてシフト管理は、経営の根幹を支える要素の一つとなっております。
警備員不足とシフト調整の課題をどう克服するか?
多くの2号警備会社では、慢性的な人員不足が大きな課題となっております。警備員の高齢化や若年層の応募減少により、安定した稼働が困難になっている現場も多く見られます。
その結果、限られた人材をやりくりする中で、無理な勤務が増え、さらなる離職につながるという悪循環が発生しております。
また、突発的な欠勤への対応も課題の一つです。急な欠員が出た際に、代替要員をすぐに確保できないと現場が停止するリスクが生まれます。
こうした問題を解決するためには、まず「予備人員の確保」と「勤務実績の可視化」が必要です。全員がギリギリで稼働する体制では、欠勤1名で全体が崩れてしまいます。
さらに、労務管理と連動したシフト表の導入によって、過剰勤務や未消化の有給などを防ぐことも重要です。
このように、2号警備会社の経営層は、人員不足を前提とした柔軟なシフト戦略を持つことが求められております。
中小の2号警備会社における典型的なシフト体制とは?
中小規模の2号警備会社では、シフト体制が会社ごとに大きく異なります。日勤中心の交通誘導警備や、夜間のイベント警備など、業務内容に応じて勤務時間帯も多様です。
もっとも多く見られるのは、日勤帯(8時~17時など)を基本とした1日単位の交代制です。また、現場によっては「夜勤のみ」の契約もあり、夜勤専従の隊員を配置するケースもあります。
そのほか、週末・祝日のみ出勤というパートタイム勤務者を含む体制も一般的です。これにより、人件費を抑えながら必要人員を確保する仕組みが構築されています。
しかし、こうした柔軟な体制は「連絡ミス」「重複配置」などのリスクもはらんでいます。現場情報を正確に管理し、変更に即応できる運用ルールが不可欠です。
また、シニア警備員や外国人警備員の活用も進んでおり、言語や健康状態への配慮もシフト設計に反映する必要がございます。
このように、2号警備業のシフト体制は多様化しており、それに応じた管理スキルの向上が求められております。
無理のない勤務割を実現するシフト作成の基本原則
シフト作成の際にもっとも重要なのは、「無理のない勤務計画」を立てることです。過重労働が常態化すると、ミスや健康被害のリスクが高まります。
まず確認すべきは、労働基準法に基づく労働時間の上限です。1日8時間、週40時間を原則とし、36協定を結んでいても、月の時間外労働の上限は原則45時間となっております。
次に重要なのが、「インターバル制度(勤務間インターバル)」です。これは前の勤務終了から次の勤務開始までに一定時間の休息を設ける仕組みで、警備員の健康維持に役立ちます。
また、勤務希望の吸い上げも大切です。自己申告を反映することで、モチベーションや定着率の向上が期待できます。
さらに、1か月先までのシフトを事前に作成・通知することで、生活設計が立てやすくなり、離職防止にもつながります。
こうした基本を踏まえ、柔軟性と公平性を両立させたシフト作成が、2号警備会社の信頼構築に貢献いたします。
希望休と現場ニーズを両立させる調整テクニック
警備員の希望休を尊重しながら、現場の人員確保を実現するには、高度な調整力が求められます。バランスを欠くと、職場への不満や現場の混乱につながります。
まず、休暇希望の申請期限を明確に設定することが重要です。例えば月末までに翌月分を提出してもらうルールにすると、シフト作成がスムーズになります。
次に、希望の重複が発生した場合の優先順位を事前に決めておくとトラブルを回避できます。勤続年数、交代制、稼働実績などをもとに公平に判断することが大切です。
また、代替勤務ができる人員を育成しておくことで、急な変更にも柔軟に対応可能となります。
これらの運用には、紙ベースの連絡では限界があります。システムやクラウドの導入によってリアルタイムな申請・承認ができる仕組みを整えることが望ましいです。
このような調整テクニックを活用すれば、2号警備会社は従業員満足と顧客満足の両立を実現することが可能となります。
シフトミス・ダブルブッキングを防ぐ管理体制とは?
シフト管理において最も避けたいのが、同じ警備員が複数の現場に同時に配置されるダブルブッキングや、配置漏れによる現場空白です。これらは現場の混乱や信用失墜を招く原因となります。
こうしたミスを防ぐには、まず「シフト管理の属人化を排除すること」が基本です。担当者一人だけでシフトを作成・運用する体制では、どうしてもヒューマンエラーが発生しやすくなります。
次に、シフト表を紙やExcelのみで管理するのではなく、共有可能なクラウド型システムに切り替えることで、リアルタイムに複数人がチェック可能となります。
また、シフト作成時には、必ず「現場別」「人別」の両方からダブルチェックを行うフローを構築しておくことが効果的です。自動アラート機能付きのシステムを導入すれば、同一時間帯の重複も自動で検知されます。
さらに、警備員ごとのスキルや現場適性、勤務地の距離などをデータベース化しておくと、より精緻な人員配置が実現できます。
このように、ミスを未然に防ぐ管理体制を整備することが、2号警備会社の信頼性を高め、顧客との長期契約につながります。
デジタルツールを活用したシフト管理の効率化
近年では、クラウド型のシフト管理ツールやスマートフォン対応アプリが多数登場しており、中小の警備会社においても導入が進んでおります。
まず代表的なツールとしては、「Googleカレンダー連携型のスケジュール共有アプリ」や、「勤怠管理機能付きの警備業向け専用ツール」などがございます。
これらのツールを活用することで、警備員自身がスマートフォンでシフトを確認・申請できるようになり、申請・変更のレスポンスが大幅に向上いたします。
また、現場責任者もリアルタイムに情報を共有できるため、急な欠勤や変更にもスムーズに対応可能となります。
一部のシステムでは、GPS情報と連動して、現場到着報告や日報提出まで自動化できるものもあります。これにより、現場の稼働状況を本社が即座に把握することができます。
このように、デジタルツールを戦略的に導入することで、2号警備会社のシフト管理は格段に効率化され、管理者の負担も軽減されてまいります。
緊急欠勤やトラブル時の対応フローを整備する
どれだけ計画的にシフトを組んでも、体調不良や家族の急用による欠勤は避けられません。特に中小の警備会社では、人数が限られるため影響が大きくなりがちです。
まずは、欠員発生時の「連絡フロー」を明確に定めておくことが大切です。誰に、いつまでに、どの手段で連絡すべきかをルール化し、警備員に周知しておく必要があります。
次に重要なのが「代替要員のリスト化」です。過去にその現場に入った経験がある、近隣に居住している、日中の稼働が可能、などの条件をもとにバックアップ人材を予めリストアップしておくと、迅速な対応が可能となります。
また、緊急時対応の責任者を明確にし、平日・休日の対応体制も分けておくと、社内混乱を防ぐことができます。
一部の警備会社では「業務用チャットツール」などを導入し、欠員や変更が即時に全員へ通知される仕組みを整えています。
このように、事前に対応フローを整備しておくことで、突発的な事態にも強い体制を構築することができます。
シフト管理における人材教育と責任者の役割
シフト管理の精度は、現場担当者のスキルと意識に大きく左右されます。そのため、シフト作成を担う責任者への教育は非常に重要です。
まず、基本となるのは「労働時間の法的制限」に関する知識です。違法な長時間労働を避けるため、労働基準法の基本を理解する必要があります。
また、「公平な割り振り」や「トラブル時の対応力」も、現場責任者に求められるスキルです。特定の警備員に業務が集中したり、希望が通らない状況が続けば、モチベーション低下や退職につながります。
そのため、毎月のシフト表作成に際しては、管理職同士のダブルチェックや、改善点の振り返りを行うPDCAサイクルを回すことが効果的です。
さらに、情報の伝達ミスやダブルブッキングを防ぐために、ツールの操作方法や連絡ルールも徹底して指導する必要があります。
このように、シフト管理における責任者教育を充実させることで、組織全体のオペレーションレベルが底上げされ、警備会社としての信頼力も高まってまいります。
適切なシフト管理が経営と業績にもたらす効果とは?
適切なシフト管理は、単に現場を回すための「裏方業務」ではありません。経営戦略の中核に関わる、極めて重要な要素です。
まず、無理のない勤務体制を実現することで、警備員の定着率が高まり、人材採用にかかるコストが削減されます。
次に、現場対応力が向上するため、クライアントからの評価も上がり、契約更新率や紹介による新規獲得にも好影響を及ぼします。
また、勤怠データを活用した人件費の最適化も可能となり、利益率改善にもつながります。
トラブルやクレームが減ることで、管理部門の負荷も軽減され、より戦略的な業務にリソースを振り分けられるようになります。
このように、シフト管理を軽視することなく、経営指標の一つとしてとらえる姿勢が、2号警備会社の成長には不可欠であるといえます。
結論・まとめ
本コラムでは、2号警備会社が直面するシフト管理の課題と、その具体的な解決策について、11の視点から詳しくご紹介いたしました。
中小企業においては、限られた人員と時間の中で、最大限の成果を出す必要があります。だからこそ、「属人的な運用」から「仕組み化された管理」への転換が求められます。
また、デジタルツールの導入、バックアップ要員の育成、責任者の教育など、今すぐにでも着手できる取り組みも多く存在します。
シフト管理の質が変われば、警備員の働き方が改善され、離職防止にもつながります。さらに、顧客満足度の向上によって、業績アップにも貢献します。
これからの時代を見据え、2号警備会社の経営者・幹部の皆様には、シフト管理を単なる業務管理ではなく、「経営改善の戦略的要素」として再定義していただくことを強くおすすめいたします。
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