【2号警備】指導教育責任者の業務内容・資格・条件とは?

2025年7月30日配信

カテゴリ:
営業 定着 育成 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。2号警備会社を経営する中小企業の経営者・幹部・人事担当者の皆様に向けてこの記事では、指導教育責任者の業務内容や役割、資格、条件、義務、教育体制の構築手法までを詳しく解説します。交通誘導警備を担う現場における人材育成の鍵となる職務について、わかりやすく丁寧にお伝えいたします。

指導教育責任者とは?2号警備業における役割の全体像

2号警備会社における「指導教育責任者」とは、警備員に対する教育・指導を専門的に担う重要な役職です。警備業法においてその配置が義務づけられており、交通誘導業務などの現場運営に欠かせない存在となっております。

まず、警備業法第21条に基づき、警備業者は警備員に対して適切な教育を行う義務を負っています。そして、その教育の中心的役割を果たすのが指導教育責任者です。特に新任教育・現任教育・業務別教育などの実施と管理は、現場の安全性と品質に直結いたします。

さらに、現場で起こりうるトラブルへの対応方針や、警備員との信頼関係の構築にも関与するため、現場全体の風土醸成にも影響を及ぼすのが特徴です。

中小の2号警備会社では、経営者や幹部が兼任しているケースもありますが、法的には別途指導教育責任者の配置が求められる場合があります。業界の適正運営を守るためにも、正しい知識と対応が重要です。

このように、指導教育責任者は単なる教育担当ではなく、現場の品質保証と企業の信頼構築に不可欠な要です。

指導教育責任者の具体的な業務内容一覧

指導教育責任者の主な業務内容は多岐にわたります。第一に挙げられるのは、警備員に対する「新任教育」の実施です。未経験者に対しては、法定教育時間を守った上で、交通誘導の基本や緊急時対応について丁寧に指導する必要がございます。

次に「現任教育」も欠かせません。これは継続的な育成を目的とし、警備業務に就いている状態で年に一度以上、法的に義務づけられています。また、各警備現場ごとの「業務別教育」も必要で、現場ごとのルール・顧客対応・地域特性に応じた指導が求められます。

これらの教育に加えて、教育記録の作成・保存業務も発生いたします。特に、指導記録は監査時に確認される重要書類となりますので、日々の記録を正確に行うことが求められます。

さらに、警備員の適性評価、苦情対応、外部講師の手配、教育カリキュラムの見直し、外部研修との連携といった役割も担うことがあります。

このように、単に教育を実施するだけでなく、教育にまつわる全体的な業務マネジメントが指導教育責任者の範囲となります。

2号警備業務に特化した教育指導の特徴とは?

2号警備業界においては、「交通誘導」が主な業務であるため、その内容に即した指導が極めて重要です。まず、現場では歩行者や車両との接触リスクが高く、事故を未然に防ぐ教育が重視されます。

また、工事現場やイベント会場など、場所ごとに環境や対応すべき状況が異なります。そのため、指導教育責任者には現場経験が豊富であることが求められ、実践的な指導が不可欠となります。

具体的には、無線機の使い方、誘導棒の振り方、現場内での立ち位置、安全確認のタイミングなど、細部にわたる指導が行われます。

さらには、周囲住民や一般通行人への対応、近隣からの苦情対応マナーなど、コミュニケーションに関する指導も行われます。

2号警備会社においては、日々の業務が地域住民や発注者の目に触れるため、現場での言動が企業の評価を左右します。ゆえに、現場で即戦力として活躍できる人材を育てることが指導教育責任者の使命となります。

指導教育責任者に求められる資格・条件

指導教育責任者として業務を遂行するためには、一定の法的条件を満たす必要がございます。警備業法施行規則では、「警備員として3年以上の実務経験を有すること」が条件となっております。

また、公安委員会が実施する「指導教育責任者講習」を修了する必要もあり、これは都道府県ごとに開催されております。講習修了者には修了証が交付され、これが資格要件の一つとなります。

実務経験の中には、交通誘導業務の経験や現場管理経験も含まれるため、現場に密着した理解が求められます。また、暴力団関係者でないこと、一定の前科がないことなど、身元審査も含まれるのが特徴です。

中小の2号警備会社では、自社のベテラン警備員を対象に育成を進める場合が多くあります。自社内からの育成を行うことで、企業文化を継承しつつ、教育の質を安定させることが可能です。

以上のように、指導教育責任者は法的要件と実務能力の両方が求められる、責任あるポジションであるといえます。

教育計画書・指導記録の作成と保存義務について

2号警備会社における指導教育責任者の業務では、「教育の実施」だけでなく、「計画」と「記録」の作成および保存も重要な要素です。警備業法施行規則では、教育の実施に先立って、教育計画書を作成しなければなりません。

教育計画書には、対象者・教育日程・講義内容・実施時間・担当講師などが記載され、これを基に教育が進行します。計画が曖昧なままでは、公安委員会の立ち入り検査や帳簿審査で指摘を受ける可能性が高くなります。

また、教育を実施した後には、受講者の出席状況や教育内容を記録した「教育実施記録」の作成が義務となっております。これには、日付・講師名・教育内容・時間数・受講者氏名・署名などが必要です。

記録の保存期間は、多くの2号警備会社では5年以上の保存を推奨しております。なぜなら、トラブル発生時や過去の確認が必要になった際に、証明資料として役立つからです。

指導教育責任者は、これらの計画書・記録を通じて、教育の質と透明性を確保する必要があります。これは企業のコンプライアンスと信頼性の証明にも直結する業務といえるでしょう。

新任教育・現任教育のカリキュラム設計の実際

警備業法では、新任教育を20時間以上、現任教育を10時間以上実施することが義務づけられております。2号警備会社においても、これらの時間数と内容を満たすためのカリキュラム設計が不可欠です。

新任教育では、業界の基礎知識や警備業法の理解から始まり、交通誘導の基本動作、緊急時の対応方法、事故防止のための留意点などを網羅する必要がございます。講義形式だけでなく、実技指導も組み込まなければなりません。

一方で現任教育は、既存警備員の知識と技能を維持・向上させることを目的とします。定期的な法令改正の理解、過去事例の共有、現場での成功体験や失敗事例の分析を通じて、実践的な学びを促進します。

さらに、業務別教育として、特定現場に特化した研修やシミュレーションも有効です。例えば、通学路の警備、夜間工事の誘導、イベント警備など、それぞれに求められる注意点を分けて指導することが重要です。

このように、カリキュラムの設計と改善は、指導教育責任者の創意工夫が問われる領域です。単なる義務消化ではなく、実務に活かせる教育設計が求められます。

警備員との信頼関係構築と現場フォローの重要性

指導教育責任者の役割は、教育だけにとどまりません。現場で働く警備員との信頼関係を築くことも、大切な業務の一つです。信頼があることで、教育内容が現場に定着し、日々の業務の質が向上します。

警備員は孤独になりがちな職種です。1人または2人で現場に立つ時間が長く、困りごとを共有する機会も限られています。指導教育責任者が定期的に現場に足を運び、声をかけ、課題をヒアリングすることは、心理的な安心感を提供します。

また、教育で指導した内容が実際の現場で活かされているかどうかを確認し、必要に応じて個別指導を行うなど、継続的なフォロー体制が重要です。これにより、警備員のモチベーションや定着率が高まり、企業全体の安定運営にもつながります。

中小の2号警備会社では、少人数体制で業務を回している場合が多く、1人ひとりのパフォーマンスが業績に直結します。指導教育責任者は現場と本部をつなぐ「橋渡し役」として、非常に重要なポジションです。

指導教育責任者の配置義務と違反時のリスク

警備業法では、一定規模以上の警備業者に対して、指導教育責任者の「選任」と「届出」が義務づけられております。これは、都道府県公安委員会に対して届け出る必要があり、未届けや不在は行政処分の対象となります。

万が一、教育記録が不備であったり、教育を実施していなかった場合、警備業法違反に問われるリスクがございます。これは2号警備会社にとって、致命的な影響を及ぼしかねません。

また、教育不備による事故が発生した場合、企業責任を問われることもあります。社会的信用の失墜、取引先からの契約解除、従業員の離職など、連鎖的な悪影響が広がります。

このようなリスクを未然に防ぐためにも、法令に則った体制整備と教育体制の構築は、経営層の重要な責務です。指導教育責任者の選任は形式的ではなく、実質的に機能する人材配置が必要といえるでしょう。

中小の2号警備会社における指導教育責任者の活用法

中小企業においては、人員や時間の制約から、指導教育責任者の専任が難しい場合もあります。そのような場合には、経営層や現場責任者が兼任しながら、外部講師や教育機関と連携する体制を構築することも選択肢の一つです。

たとえば、社内に蓄積されている教育マニュアルやチェックリストを整備し、全社員で共有することで、教育の均質化を図ることが可能です。これにより、指導教育責任者の負担を分散させることができます。

また、警備業界団体が主催する講習会やオンライン教材を活用することで、教育コストを抑えつつ、効果的な育成を実現することもできます。中小企業だからこそ、柔軟な発想と連携体制が求められます。

このように、指導教育責任者を中心に据えた育成体制を組み立てることで、人材育成が組織文化として根付き、企業の競争力を高めることができます。

今後求められる指導教育責任者像と育成の方向性

今後、2号警備業界では少子高齢化の進行により、若手人材の確保がさらに難しくなると予想されます。そのため、育成と定着を担う指導教育責任者の存在価値は、ますます高まることが考えられます。

加えて、現場におけるデジタル機器の導入や遠隔指導、eラーニングなど、教育手法も多様化しています。こうした変化に対応する柔軟性とアップデート意識を持つことが、今後の指導教育責任者に求められる資質となります。

また、現場に寄り添った「感情的なケア」や、離職防止のための「メンタルフォロー」など、従来とは異なる役割も期待されています。

中小の2号警備会社にとっては、現場力の強化と人材育成の両立が生き残りの鍵となります。指導教育責任者の選定と育成こそが、今後の事業基盤強化の中核になるのです。

結論・まとめ

本コラムでは、2号警備会社における指導教育責任者の業務内容と、その重要性について詳しく解説してまいりました。指導教育責任者は、法的義務を果たすだけでなく、現場の品質と人材育成を支える要の存在です。

教育内容の充実、記録の整備、信頼関係の構築、現場への定着支援など、多岐にわたる業務を通じて、2号警備会社の経営安定に大きく貢献する存在といえるでしょう。

今後の人材難の時代において、警備員の採用と定着を支える中核として、指導教育責任者の役割はさらに拡大していくものと考えられます。自社に合った人材を選び、育て、組織として支える仕組みの整備が急務です。

中小企業の経営者・幹部の皆様におかれましては、法令順守の視点だけでなく、経営戦略の一環として指導教育責任者を見直すことが、今後の成長と存続の鍵になることを、改めてご認識いただければ幸いです。

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