2号警備業の現任教育の効果的な手法とは?

2025年7月31日配信

カテゴリ:
営業 定着 育成 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。こちらのコラム記事では、2号警備業を展開する中小企業の経営者・幹部・人事担当者の皆さまに向けて、現任教育の重要性とその効果的な手法について詳しく解説します。現任教育の制度概要から、研修の進め方、教育効果の定着化手法まで実践的にまとめた内容です。

現任教育とは?2号警備業における基本的な定義と目的

現任教育とは、既に業務に従事している警備員が定期的に受講すべき法定の教育訓練を指します。
これは新任教育とは異なり、実務を経験した後も継続的な知識と技術の向上を目的としています。
特に2号警備会社にとっては、交通誘導警備などの現場で即応できるスキル維持が求められます。

この現任教育は「警備業法」が根拠にあります。
それに基づき、2号警備業務に従事する警備員は現任教育を受講する義務があります。
この教育の対象には、業務内容や配属現場に応じたリスク認識や行動判断を養う項目が含まれます。

目的は主に以下の3点に集約されます。

  1. 業務に関する知識の再確認とアップデート

  2. 安全・事故防止の意識向上

  3. 品質の高い交通誘導警備を安定的に提供すること

現任教育を軽視している2号警備会社も存在しますが、それは重大なリスクを孕んでいます。
教育を怠ることで、事故発生率が高まるだけでなく、顧客からの信頼も大きく損なわれてしまいます。

だからこそ、2号警備業界において現任教育は「コスト」ではなく「投資」と捉えるべきです。

なぜ現任教育が2号警備員にとって重要なのか

2号警備業務は、主に道路や建設現場での交通誘導など、人や車両の安全を確保することが中心です。
一見ルーティンワークに見える業務でも、現場ごとに異なる状況への対応が求められます。

そのため、現任教育を通じて状況判断力や柔軟な対応力を磨くことが不可欠です。
現任教育は、現場でのヒヤリハット事例や、近年の事故報告などを通して、具体的な改善意識を育てる場でもあります。

また、現任教育はベテラン警備員にとってもマンネリ化の防止に効果的です。
長年の経験に基づく勘に頼りすぎた判断は、時に重大な判断ミスを招くことがあります。
そこで定期的な教育を通じて、基本動作の見直しや法改正への対応が必要となります。

加えて、2号警備会社にとっては、教育の充実が人材定着にもつながります。
警備員が学び成長できる環境は、自己効力感を高め、離職率の低下につながります。

教育は単なる義務ではなく、会社と警備員の信頼関係を築く重要な接点でもあるのです。

2号警備業における現任教育内容

現任教育は、警備業法に基づき以下のような内容を含むことが求められています。
警備業者はこれに基づき、各社で独自の教育プログラムを編成する必要があります。

  1. 警備業法および関係法令の再確認

  2. 業務に関連する危険予知と安全対策

  3. 顧客満足と対応マナー

  4. 緊急時の対応(火災・災害・事故対応など)

  5. 実地訓練(旗振り、誘導ポーズ、立哨など)

これらの内容は、すべて2号警備会社が担う交通誘導警備業務に直結しています。
特に道路交通法改正や建設現場のルール変更に即応するためには、常に最新の知識が必要です。

教育は条件となる時間を単に満たすだけでは意味がありません。むしろ、内容の質と受講者の理解度が重要視されるべきです。

根拠となる「警備業法施行規則」では、教育の具体的な実施方法や報告書の提出についても定められています。
実施した内容は帳簿に記録し、一定期間の保存義務があります。

この法的な背景を把握したうえで、会社ごとの教育方針を明確にすることが必要です。

現場力を高める現任教育の実施タイミングと頻度

2号警備業務の現任教育は、年1回以上の実施が法律上の義務とされています。
しかし、実際の現場に即した教育効果を得るには、より柔軟なタイミングの見直しも重要です。

たとえば、下記のようなタイミングでの実施が効果的と考えられます。

  1. 新しい現場への配属前

  2. 顧客からのクレーム発生時

  3. 警備ミスや事故が発生した後

  4. 季節的な業務変化(年末年始、猛暑、降雪など)

このように、単なる法定の1回に留まらず、臨機応変な教育機会を設けることが現場力強化につながります。

また、教育を一定期間ごとに分割する2号警備会社もあります。分散型の教育は、警備員の負担を軽減しつつ、学習の定着にも効果を発揮します。

教育日程を現場スケジュールと調整するには、事前の人員配置計画が重要です。
ここで「管理者の采配力」や「業務計画の柔軟性」が問われる場面が多くなります。

現任教育で活用すべき教材・マニュアルの選び方

現任教育を効果的に行うためには、使用する教材やマニュアルの質が極めて重要です。
2号警備会社の業務に即した具体的な内容を反映させることが成功の鍵となります。

まず基本として、警備業法や道路交通法の改正内容を盛り込んだ最新版の法令集を用意することが求められます。
また、過去の交通誘導に関するトラブル事例を教材化することで、実務的な学習効果を高めることができます。

さらに、警備員の理解を深めるためには、視覚的な教材の導入が効果的です。
具体的には、現場映像を活用したケーススタディや、正しい誘導動作を示した動画マニュアルなどが挙げられます。

教材を選ぶ際は、次の観点を重視することが重要です。

  1. 現場の実態に即しているか

  2. 学びの定着を図る設問やワークが含まれているか

  3. 初学者だけでなくベテランも学びを得られる内容か

また、警備業界全体の質向上を支援するために、各都道府県警備業協会が提供するマニュアルや資料を活用するのも効果的です。
公的機関が作成した資料は法令順守の観点でも信頼性が高く、社内教育資料として導入しやすいメリットがあります。

一方で、業務内容や交通誘導の状況は地域や現場によって異なります。
したがって、自社の2号警備会社に合わせたカスタマイズが欠かせません。

ベテラン警備員と新人を共に育成する指導体制の構築法

2号警備会社では、ベテランと新人が混在する職場が一般的です。
このような環境において、現任教育を通じて全員のスキル底上げを図るには、指導体制の工夫が不可欠です。

まず、指導担当者の選定が最重要となります。
経験年数だけでなく、教育力やコミュニケーション能力の高い人材を教育リーダーに任命することが推奨されます。

また、現任教育では一方向の講義形式に留まらず、ベテランが新人を指導するOJT型の学習も取り入れると効果的です。
このような相互学習の仕組みは、指導者としての意識醸成と、後進の育成を同時に達成できます。

さらに、チーム単位でのロールプレイや模擬訓練を導入することで、業務に即した実践力を養うことができます。
これは実際の交通誘導業務における連携強化にも直結する効果があります。

教育後には、必ず個別のフィードバックを実施しましょう。
その際には、単なる評価だけでなく、良かった点や改善点を具体的に伝えることが重要です。

中小規模の2号警備会社では、マンパワーに限りがあることも多いため、こうした仕組みを体系化し、継続運用することが求められます。

現任教育の効果を最大化する研修プログラムの事例

現任教育の成果を高めるためには、実際に成果が出ている2号警備会社の事例から学ぶことが有効です。

たとえば、ある中小警備会社では、以下のような構成で年2回の現任教育を実施しています。

  1. 座学(法改正・事故事例分析・接遇マナー)

  2. グループワーク(リスク想定と対策立案)

  3. 実技演習(誘導訓練・緊急対応演習)

  4. 振り返り(個人別評価とフィードバック)

このように、インプットとアウトプットをセットにした研修構成は、知識の定着に効果的です。

また、別の2号警備会社では、スマホやタブレットを使ったeラーニングの導入により、現場稼働と両立しながら教育を進めています。
このハイブリッド型教育は、日程調整や移動コストの削減にもつながります。

さらには、事故が起きた際の再発防止策として、現任教育に「過去の自社事故事例」を組み込み、当事者意識を高めている会社もあります。
具体的な体験談は、抽象的な注意喚起よりも記憶に残りやすく、意識変容を促します。

こうした工夫が、交通誘導業務における安全性と質の向上に直結しているのです。

オンライン教育とOJTを組み合わせたハイブリッド型の手法

近年では、教育手法にも変革が求められています。
中でも注目されているのが、オンライン教育と現場OJTを組み合わせた「ハイブリッド型研修」です。

この方法では、座学の部分は動画教材やeラーニングで実施し、現場での実践はOJTにて対応します。
これにより、研修日を短縮しつつ、必要な知識と技術をしっかり身につけさせることができます。

例えば、警備業法の改正点や交通誘導の基本動作などは、事前に動画で学習することで、集合研修の時間を効率化できます。
一方で、旗振り動作や車両対応などは、現場に近い環境で実技指導を受けることが理想的です。

この手法を活用すれば、人員配置の都合上、まとまった集合研修が難しい中小の2号警備会社でも柔軟な教育が可能となります。

また、オンライン学習は個人のペースで復習できるという利点もあります。
再生速度調整やテスト機能を活用することで、理解度を可視化することもできます。

一方で、対面指導に比べて「緊張感」や「臨場感」が欠けやすい点には注意が必要です。
そのため、必ずOJTでの補完が不可欠です。

ハイブリッド型は教育の質と効率を両立できる現代的手法として、今後の2号警備業界でより普及していくと考えられます。

教育成果を定着させる評価制度とフィードバックの仕組み

現任教育の効果を確実にするためには、受講後の評価とフィードバックが重要です。
単に受講したという記録だけでは、実際の理解度や行動変容を測ることはできません。

そこで、教育の後にミニテストや確認ワークを取り入れ、学習内容の理解度を把握することが推奨されます。
この評価は、「できる」「できない」ではなく、「なぜできたか」「どこが弱いか」に焦点を当てることが大切です。

また、管理者や指導者による個別フィードバックの実施も不可欠です。
例えば、ロールプレイでの交通誘導の動作に対し、具体的な改善点をその場で伝えることで、記憶に定着しやすくなります。

評価制度を構築する際には、以下の3段階評価が有効です。

  1. 知識面(法令、マナー、手順の理解)

  2. 技能面(動作、発声、判断の正確性)

  3. 態度面(業務への姿勢、報連相、責任感)

これらの評価を記録し、次回の現任教育に活かすことで、継続的なスキル向上が実現します。

教育のPDCAを回すためには、評価とフィードバックを研修の一部として必ず組み込みましょう。

中小の2号警備会社が現任教育で差別化するための戦略

人材確保や定着が難しい中小企業の2号警備会社にとって、現任教育は他社との差別化要素となり得ます。
単なる法令順守に留まらず、「この会社で働き続けたい」と思わせる教育環境の整備が重要です。

具体的には、次のような戦略が考えられます。

  1. スキルアップ制度の明確化とキャリアパスの提示

  2. 優秀警備員への表彰制度と報奨の導入

  3. 教育参加へのインセンティブ(手当・表彰)

また、教育内容を可視化して顧客にも共有することで、信頼感の向上にもつながります。
「この会社の警備員はしっかり教育を受けている」と評価されれば、再契約率や単価交渉でも有利に働きます。

さらに、採用活動においても「教育に力を入れている会社」としてブランディングできます。
求職者にとって、教育が充実している職場は成長機会があると感じられ、魅力となります。

このように、現任教育は法令対応以上の意味を持ち、経営戦略そのものに直結する要素なのです。

結論・まとめ

本コラムでは、2号警備会社における現任教育の効果的な手法について多角的に解説してまいりました。

現任教育は、単に法定義務を果たすだけでなく、交通誘導業務の品質向上、人材育成、事故防止、そして顧客満足度の向上にも寄与する重要な取り組みです。

教育内容や頻度、教材の選び方、指導体制の構築、研修方法の工夫、評価制度など、各観点からの最適化が求められます。
特に中小企業においては、柔軟性と現場目線を活かした取り組みが必要です。

今後も業界全体として警備品質の底上げが求められる中、現任教育を経営課題として戦略的に捉え、継続的な改善を実施していくことが、選ばれる2号警備会社への第一歩となります。

ぜひ、自社の教育体制を今一度見直し、差別化と業績向上につなげていただければ幸いです。

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