【2号警備業界】2025年上半期の振り返りと今後の展望

2025年8月1日配信

カテゴリ:
DX 営業 定着 採用 育成 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。本コラム記事は、2号警備業を展開する中小企業の経営者・幹部・人事担当者向けに、2025年上半期における業界の動向や課題、今後の展望について詳しく解説しています。交通誘導や業務内容の変化、人材戦略、経営課題への対応を総合的に整理し、2025年下半期の指針を示します。

2025年上半期の2号警備業界の総括

2025年の上半期、2号警備会社を取り巻く環境は大きく変化しました。特に交通誘導業務の需要増加が目立ち、業界全体の案件数が上昇傾向にありました。

また、国土強靭化計画の一環として、全国的にインフラ工事が進み、交通誘導の業務内容も多様化してきております。その一方で、中小規模の2号警備会社では人手不足が深刻化しており、現場配置における柔軟性が求められました。

さらに、各自治体からの発注も安定して続いたため、公共工事に特化した警備会社にとっては好調な上半期となりました。しかしながら、単価競争の激化や過度な価格引き下げ圧力も存在し、収益確保に課題を抱える企業も少なくありません。

このように、業界全体としては仕事量が増える中で、経営体力や業務品質が明確に問われる半年であったといえます。

交通誘導警備の需要が拡大した社会的背景とは

交通誘導に関する業務は、2025年上半期において特に需要が高まりました。これは複数の社会的背景が関係しているためです。

まず、国による防災インフラ整備が強化されたことにより、各地で道路改修や公共施設の改築が活発に進行しました。こうした建設ラッシュにより、交通誘導業務の依頼数は右肩上がりとなりました。

また、労働安全衛生法の改正により、現場での歩行者・車両の安全対策が厳格化され、現場ごとの警備配置が強く求められるようになりました。この変化は、交通誘導という業務内容に対する社会的ニーズの高まりを示しています。

加えて、地元住民や通行者との接点を持つ2号警備員には、より丁寧な対応や説明力が求められる場面も増えております。そのため、業界全体として人材育成の重要性が再認識されています。

中小2号警備会社を直撃した人材不足の実態

多くの2号警備会社が2025年上半期に最も苦しんだのは、人材確保の難しさでした。特に中小企業にとっては、採用コストと定着率の問題が重くのしかかっております。

警備業界は高齢化が進んでおり、シニア層の活用が進む一方で、若年層の応募は非常に少ない傾向にあります。そのため、現場の平均年齢が上昇し、長時間勤務や夏場の屋外業務に対応できる体力のある人材の不足が課題となっております。

加えて、他業界との人材獲得競争も激化しており、物流業界や建設業界と比較して、警備業の待遇が見劣りするとの認識が若者層に根付いてしまっている現実もあります。

このような中で、求人広告にかける費用も高騰しており、中小の2号警備会社はコストと質のバランスに悩む状況が続いています。

警備員の処遇改善と待遇見直しの動き

2025年上半期、多くの2号警備会社では、警備員の処遇改善が経営課題となりました。特に交通誘導を担う現場警備員の労働環境が注目され、待遇見直しの流れが強まっています。

背景には、最低賃金の地域別引き上げや、物価高による実質賃金の低下がありました。業界全体で待遇の改善が進まなければ、人材の流出が止まらないという危機感が共有されつつあります。

一部の企業では、資格手当や職務手当の導入、評価制度の明文化を進め、定着率向上を図る動きが見られました。また、交通費全額支給や前払い制度など、柔軟な賃金制度を導入する事例も増加しています。

このような取り組みは、単なるコストではなく、戦略的な人材確保策として捉えるべきであるといえるでしょう。

現任教育・新任教育の質的向上と課題

警備業法に基づき、新任教育・現任教育の実施は義務化されていますが、2025年はその「質」が問われる年でもありました。

従来の座学中心の研修から、現場シミュレーション型の実践的な教育への転換が求められるようになっています。特に交通誘導業務においては、実際の現場を想定した判断力・対応力が求められます。

しかしながら、中小の2号警備会社では教育専任担当者を設ける余裕がないことも多く、形式的な研修に留まってしまうケースも少なくありません。

そのため、外部の教育機関を活用したり、動画教材を導入するなど、効率的かつ実践的な教育手法の導入が今後の課題となります。

2号警備業界のデジタル化と業務効率化の現状

2025年上半期、業務効率化を目的としたデジタル化が、2号警備業界でも進行しました。中でも、シフト管理や勤怠管理、配置計画などの業務は、アプリやクラウドシステムでの運用が増加しています。

こうしたツールを使うことで、現場ごとの人員配置の最適化や、突発的な欠勤への対応がスムーズになりました。また、GPSを活用した位置情報管理により、巡回や現場の到着確認も効率化されています。

一方で、年齢層の高いスタッフが多い現場では、操作性への配慮が求められ、システム導入を躊躇する企業も存在しています。

したがって、導入コストと業務負担を踏まえた、段階的なデジタル化の設計が重要といえるでしょう。

地域密着型の警備会社が注目される理由とは

2025年上半期、地域密着型の2号警備会社が注目を集めました。その理由は、地域住民との連携力や、地元行政との信頼関係にあります。

特に地方都市では、大手よりも柔軟で迅速な対応が可能な地元企業への信頼が高まりつつあります。地元の交通事情を理解し、的確な業務内容の提案ができる点も大きな強みです。

また、地域の雇用創出や、高齢者の再雇用といった社会的価値も評価されるようになりました。このような背景から、地域密着型企業は今後さらに重視されていくと考えられます。

中小警備会社における経営課題とその対応策

中小の2号警備会社が抱える経営課題として、最も大きいのは「収益の安定化」です。単価競争が激しい中、いかに利益を確保するかが問われています。

そこで、一部企業では「案件の選別」や「得意業務の特化」を進めることで、業務の無駄を減らし、粗利率の向上を図る動きが見られます。

また、管理職の育成や、現場からの意見吸い上げによる現場改善も重要な取り組みとなっています。特に「業務効率化」と「業務品質の維持」の両立が、今後の経営のカギとなるでしょう。

2号警備業界における外国人材活用の動き

人手不足への対策として、外国人材の活用も徐々に議論され始めました。現在の制度では、警備業は在留資格「特定技能」の対象ではありません。

しかし、国際情勢の変化や法改正の可能性もあり、今後の制度見直しに備えた情報収集が重要です。加えて、外国人材との共生や、日本語教育、現場対応のマニュアル整備など、受け入れ体制の準備も必要となります。

中長期的な人材戦略として、外国人材の活用は避けて通れないテーマになってくるでしょう。

顧客から求められる品質・コンプライアンス基準の変化

2025年上半期、顧客企業から求められる品質基準が変化しました。特に「見た目の清潔感」や「挨拶の丁寧さ」など、警備員の対人スキルが重視される傾向が強まっています。

また、コンプライアンスの観点から、SNS上での誤投稿や、法令違反行為に対するチェック体制も求められています。こうした背景を踏まえ、業務内容にマナー研修やリスク管理教育を取り入れる企業が増えてきました。

警備員一人ひとりが「会社の顔」であるという認識が、社内に浸透していくことが重要です。

2号警備会社の広報・採用ブランディング戦略とは

採用難の時代において、企業ブランディングは避けて通れない課題です。特に警備業界は、一般的なイメージが古いままで更新されていない場合が多く、広報戦略の強化が求められています。

ホームページの刷新、求人動画の配信、SNSを通じた日常発信などは、今後スタンダードとなっていくでしょう。また、社内イベントや表彰制度を通じて、働きがいのある企業文化を外部に伝えることも重要です。

こうした取り組みにより、企業の信頼度を高めるとともに、応募数の増加にもつなげることができます。

警備業界内で進む企業連携・グループ化の流れ

2025年は、警備業界内でもM&Aや業務提携の動きが活発になりました。特に中小企業間での共同受注や、シフト融通のための業務連携が注目を集めています。

こうした動きは、人的資源の最適活用や、現場のカバー体制強化に有効です。また、コスト削減や研修の共通化といった効果も期待できます。

今後も、単独ではなく「連携型経営」が主流となる可能性が高く、戦略的なアライアンスの構築が求められます。

2025年下半期以降の展望と中小企業の生存戦略

2025年下半期は、より一層「専門性」と「柔軟性」の両立が求められます。交通誘導業務の需要は継続する一方で、労働環境改善や教育体制の整備が急務です。

中小の2号警備会社は、業務内容の明確化や、独自の強みを打ち出すことで競争力を高める必要があります。また、社内のマネジメント力を高め、現場との信頼関係を構築することが、定着率の向上につながります。

今後を見据えた経営戦略として、持続可能性を重視した体制づくりが不可欠となるでしょう。

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