ビルメンテナンス業界の法人営業・販促の手法とポイントとは?

2025年8月5日配信

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DX ビルメンテナンス業界 営業

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。本コラムでは、ビルメンテナンス業を展開する中小企業の経営者・幹部・人事担当者に向けて、法人営業と販促における実践的な手法と押さえるべきポイントを詳しく解説いたします。営業力強化と業績向上を目指す企業にとって、今後の方向性を考える上での参考になる内容です。

ビルメンテナンス業界における法人営業の重要性とは?

ビルメンテナンス業界では、法人との継続的な契約が事業の根幹を支えます。
中小規模のビルメンテナンス会社においては、安定した顧客基盤を築くことが経営の安定に直結します。

特に法人営業は、単発の仕事ではなく長期契約を前提とした提案型営業が中心となります。
こうした営業活動を通じて、清掃や設備点検、警備業務といった多様な業務を総合的に提案できるのが特徴です。

また、法人顧客は1件あたりの契約規模も大きく、営業1件あたりの売上効率が高い傾向にあります。
一方で、競合も多く、差別化と信頼構築のスキルが求められます。

中小のビルメンテナンス会社では、経営資源が限られるため、狙うべき法人を明確にし、効率的な営業戦略が必要です。

今後の人材不足や高齢化の進行を見据えると、法人営業の成功が事業存続に不可欠となります。

このように、法人営業は単なる営業活動ではなく、経営戦略そのものとも言える重要な位置づけです。

中小ビルメンテナンス会社における営業課題とは?

中小のビルメンテナンス会社が直面する営業課題は多岐にわたります。
まず第一に、自社の知名度が低く、信頼の獲得に時間がかかる点が挙げられます。

また、営業専任の人材が確保できていないことも多く、現場と営業を兼務しているケースも珍しくありません。
これにより、営業活動の量や質が担保できず、機会損失が発生することもあります。

さらに、法人営業に必要な提案スキルや資料作成のノウハウが不足していることも問題です。
業界としてもDX化が遅れているため、情報収集や営業管理もアナログな状態にとどまっています。

加えて、競合他社との価格競争に巻き込まれるリスクも高く、価格以外の価値提案が求められます。

こうした課題を解決するには、営業戦略の見直しと人材の育成、デジタルツールの活用が鍵となります。
持続的な業績向上のためには、営業体制そのものの再構築が必要です。

法人営業で狙うべきターゲット企業の特徴とは?

営業効率を高めるためには、明確なターゲティングが不可欠です。
ビルメンテナンス会社が狙うべき法人は、主に以下の3タイプに分類されます。

  1. ビル・オフィスビルのオーナー企業
    自社ビルを保有しており、定期的な清掃・設備管理ニーズがある法人です。

  2. 不動産管理会社・プロパティマネジメント企業
    複数の物件を管理しており、包括的なメンテナンス契約を必要としています。

  3. 商業施設・医療機関・学校法人などの施設所有者
    利用者の快適性や衛生環境に敏感で、品質重視の法人顧客です。

これらの法人は、継続的な仕事や年間契約を締結する可能性が高く、営業の投資対効果が見込めます。
また、定期的な仕事が発生するため、安定的な業績確保にもつながります。

ターゲット企業の選定においては、事業内容、所在地、建物規模、既存の外注先状況などを多面的に分析することが重要です。

ビルメンテナンスの提供価値をどう伝えるべきか?

法人営業では、単なる業務内容ではなく、「提供価値」を訴求する必要があります。
提供価値とは、顧客の課題解決に寄与する自社の強みを意味します。

例えば、「クレーム率が低い」「対応の速さ」「有資格者が多い」などは、他社との違いを明確に示す要素となります。
また、「清掃+空調管理」「警備+緊急対応」など複合的なサービス展開も強みになります。

提供価値を伝える際は、数値や事例を交えて、具体的に伝えることが信頼につながります。
「満足度90%以上」「契約継続率80%以上」などの指標は、法人顧客に安心感を与えます。

ビルメンテナンス会社は、単に業務を請け負うのではなく、建物運営のパートナーとしての役割をアピールすることが求められます。

営業活動の事前準備で押さえるべきポイント

営業における成果は、事前準備の質に大きく左右されます。
まず、ターゲット法人に関する企業情報を入念に調査することが第一歩です。

次に、業界情報や競合の動向を把握し、自社の優位性を明確にしておくことが重要です。
また、自社の強みを言語化し、具体的な提案内容へと落とし込む準備も必要となります。

提案資料や実績資料も、汎用的な内容ではなく、相手企業のニーズに即したカスタマイズが求められます。
相手の業種・施設規模に応じた提案構成を意識することで、受注率が高まります。

さらに、訪問前に想定される質問や懸念事項を整理しておくことで、商談時の対応がスムーズになります。
事前準備が営業成否を大きく左右する以上、営業活動前に時間と手間をかける姿勢が欠かせません。

初回アプローチの方法と成功率を高めるコツ

法人営業の最初の関門は、アポイント獲得です。
中小のビルメンテナンス会社では、効率的にアプローチする手法が求められます。

まず、テレアポは手間がかかりますが、直接話せるという利点があります。
一方、飛び込み訪問は誠実さが伝わりやすい反面、門前払いになることもあります。

最近では、営業メールやフォーム送信といったデジタル手法も有効活用されています。
また、異業種交流会やビジネスマッチングイベントへの参加も良い接点になります。

成功率を高めるには、「なぜ今提案するのか」の理由づけが重要です。
例えば、「契約更新時期の把握」「建物の改修時期」など、時期的な根拠を伝えると効果的です。

さらに、「実績があるエリア」「同業種との契約事例」などの安心材料を提示することが信頼獲得につながります。
初回の接点から、営業担当者の誠実さと提案力を感じてもらうことが第一歩となります。

商談・ヒアリング時に活用したい質問設計とは?

商談においては、一方的な説明ではなく、相手の課題を引き出すヒアリング力が問われます。
有効なヒアリングのためには、質問の設計がカギを握ります。

まずは、施設の規模や構造、業種や業務フローについての確認が基本です。
次に、「現在の外注状況」「不満点」「改善したい点」などを尋ねることで、ニーズが顕在化します。

さらに、「過去にあったトラブル」「従業員の声」など、現場に近い視点からも情報を集めましょう。
「予算感」「決裁権者の確認」も、営業プロセスを進める上で重要な情報となります。

これらの情報をもとに、相手にとって現実的かつ魅力的な提案を行うことができます。
ヒアリングは、信頼関係を築く対話の機会でもあるため、丁寧かつ傾聴の姿勢が求められます。

提案書・見積書で差をつける工夫とは?

法人営業では、提案書と見積書が営業成果を左右する大きな要素です。
特に中小ビルメンテナンス会社では、差別化された提案資料が受注の鍵となります。

提案書においては、「何を」「どう提供するか」だけでなく、「なぜそれが必要か」を明確に記載しましょう。
そのうえで、「成果指標」や「改善効果」を数値で示すことが信頼を高めます。

見積書に関しても、単に項目と金額を並べるだけでは不十分です。
各作業の内容とその必要性を丁寧に説明し、「安心」「品質」「継続性」といった付加価値を盛り込みましょう。

加えて、過去の事例や実績、スタッフの資格などの情報を資料に添えると、説得力が格段に上がります。
「選ばれる理由」を視覚的にも訴求する工夫が、競合との差になります。

営業と連動する販促活動の設計とは?

営業と販促は別々に考えるのではなく、連動させることで相乗効果が生まれます。
まず、パンフレットやチラシは、対面営業での補足資料として活用できます。

次に、ホームページは法人向けに信頼感を与える情報発信の場となります。
具体的には、サービスメニュー、対応エリア、スタッフ紹介、契約実績などを掲載しましょう。

さらに、SNSやブログを通じた事例紹介やコラム投稿は、情報の鮮度と信頼性を高める手段です。
最近では、動画によるサービス紹介や作業風景の発信も効果的です。

また、営業活動での名刺交換後にフォローメールを送る際に、こうしたコンテンツを案内することで再接点を創出できます。
営業と販促を統合的に設計することで、企業全体の営業力が底上げされます。

既存顧客の深耕営業とクロスセルの方法

新規開拓だけでなく、既存顧客からの売上拡大も法人営業における重要な施策です。
ビルメンテナンスの多様な業務を活かしたクロスセルが効果的です。

たとえば、清掃業務からスタートし、空調・設備点検へと広げる方法があります。
警備業務の提案や、廃棄物管理の追加なども選択肢となります。

このような展開を進めるには、定期的なコミュニケーションが不可欠です。
月次報告や改善提案書を通じて、課題や変化を的確に捉えましょう。

また、営業担当者が現場との連携を密に行うことで、提案の精度が高まります。
顧客の信頼を損なわない範囲で新たなサービスを提案し、長期的な関係を築くことが目標です。

受注後の信頼構築とリピート率向上策

受注後の対応こそ、次の営業活動につながる重要なプロセスです。
まず、契約どおりの業務品質を保つことが前提となります。

特に現場スタッフの教育と態度は、法人顧客の満足度を大きく左右します。
クレーム対応や緊急時の柔軟な対応も、信頼構築において欠かせません。

また、定期的な報告やフィードバックの場を設けることで、顧客との距離が縮まります。
「業務改善の提案」「コスト削減の提案」など、能動的な働きかけが再契約に直結します。

このように、受注後の対応は単なる作業ではなく、次の受注を見据えた営業活動の一部であると捉えるべきです。

営業・販促における人材育成の考え方とは?

営業・販促を成功させるには、人材育成の体制が必要不可欠です。
中小企業では、未経験者や他業種からの転職者が多いため、教育体制が成否を分けます。

まず、基本的な業務知識やサービス理解を徹底させましょう。
そのうえで、ロールプレイングやOJTを通じた実践力の強化が重要です。

営業トークの型化、資料の活用法、ヒアリングスキルの習得など、段階的に習得を促すことが求められます。
また、定期的な振り返りや評価制度も、モチベーション維持に効果的です。

営業活動の属人化を防ぐためにも、ナレッジの共有やマニュアル整備が必要です。
結果として、組織として営業力を底上げすることができます。

営業管理とKPI設計の基本ポイント

営業活動の成果を可視化するには、KPIの設計と管理体制の構築が重要です。
KPIとは、Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略称です。

具体的には、「訪問件数」「商談数」「受注率」「失注理由」などを定量的に記録・分析します。
これにより、営業活動のボトルネックを把握し、改善策を立てることができます。

また、個人ごとのKPI管理により、人材育成の進捗管理も可能となります。
定期的な営業会議でKPIを確認し、組織として目標を共有しましょう。

KPI管理は、単なる数字の記録ではなく、戦略的な経営判断を支える情報資産となります。

デジタル営業・DXの活用による差別化戦略

近年では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を営業に取り入れる企業が増えています。
中小のビルメンテナンス会社でも、取り組む価値は大いにあります。

たとえば、顧客情報をCRMツールで管理することで、営業の効率と精度が向上します。
また、MA(マーケティングオートメーション)を活用すれば、見込み顧客への定期配信が可能となります。

さらに、生成AIであるChatGPTなどを使った営業資料の下書き作成や提案文の自動生成も有効です。
これにより、人的リソースの少ない中小企業でも、スピーディーかつ質の高い営業活動が可能となります。

こうした取り組みを進めることで、競合他社との差別化が実現でき、顧客から選ばれる企業になれるでしょう。

他社との差別化戦略とブランド構築の方法

競争が激しいビルメンテナンス業界では、他社との差別化が生命線となります。
価格勝負に陥らないためにも、明確な「ブランド戦略」が必要です。

まず、自社の理念や使命、品質へのこだわりを言語化し、それを社内外に発信することが基本です。
「丁寧な対応」「柔軟なカスタマイズ」「地域密着型」など、具体的な特徴を明確にしましょう。

また、実績紹介や顧客の声を定期的に発信し、信頼性の高いブランドイメージを構築していきます。
SNSやブログ、地域メディアでの露出もブランド力を高める要素となります。

最終的には、「〇〇ならこの会社」と言われる状態を目指すことが、継続的な業績向上と経営安定につながります。

結論・まとめ

本記事では、ビルメンテナンス会社の法人営業・販促の手法とポイントについて解説いたしました。
営業力は企業の業績を大きく左右し、経営戦略そのものといえます。

中小企業においては、ターゲットの明確化と効率的な営業活動が鍵となります。
また、提案内容の質を高め、受注後のフォロー体制を整えることも重要です。

デジタルツールの活用や人材育成の工夫により、組織として営業力を底上げすることができます。
さらに、他社との差別化とブランド構築を意識することで、選ばれる企業へと成長できます。

今後の営業戦略を見直すきっかけとして、本記事が皆様の経営にお役立ていただけましたら幸いです。

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