株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。本コラム記事では、主に「2号警備業を展開する中小企業の経営者」を対象に、地方で活動する中小規模の警備会社が持続可能な経営を実現するための考え方と実践手法を解説いたします。地域特性を踏まえた営業戦略や人材採用、交通誘導警備の効率化、業界内での差別化に向けた取り組みなど、多角的に紹介します。
地方警備会社を取り巻く現状と経営課題
地方で事業を展開する2号警備会社においては、特有の経営課題が多数存在しております。
その中でも特に深刻なのが、人口減少による働き手の確保難と高齢化の加速です。
加えて、交通誘導警備業務における発注単価の低下、短期案件の多さ、急な人員調整なども、地方の警備会社にとって大きな経営リスクとなっております。
また、都市部に比べて案件数が安定しにくく、営業活動の成果がなかなか上がらないことも見受けられます。
さらに、公共工事の入札単価の下落や、警備業界の法改正に対する理解と対応の遅れなども、地方の事業者にとって障害となり得ます。
このような複数の要素が複雑に絡み合い、2号警備会社の経営は一層難易度を増しているのが現状でございます。
一方で、地域に根ざした営業や人材活用、行政との連携など、地方ならではの強みを活かす経営スタイルも確立されつつあります。
こうした背景を踏まえ、持続可能な経営モデルの構築が地方の警備会社にとって急務となっているのです。
持続可能な経営に求められる視点とは?
持続可能な経営を実現するためには、単なる売上増加やコスト削減といった短期的な視点では不十分でございます。
重要なのは、長期的に安定した収益構造と人材基盤を形成するための経営戦略を持つことです。
まず必要となるのは、自社の経営資源の棚卸と再評価でございます。
とくに地方においては、人材、地域の信用、行政との関係性が大きな資産となります。
また、外部環境の変化を的確に捉え、変化に柔軟に対応できる組織文化も欠かせません。
たとえば、高齢化社会の進展を逆手にとり、シニア人材の活用に力を入れることもその一つです。
さらに、警備業界の中でも「交通誘導警備」に特化した専門性を追求することにより、競争優位性を高めることが可能です。
このように、持続可能な2号警備会社を目指すには、内部資源の最大活用と外部環境の適応力の両面からのアプローチが必要でございます。
地域密着型サービスの強化と信頼構築
地方で成功する2号警備会社には、地域との信頼関係を強固に築いているという共通点がございます。
単発の案件ではなく、継続的な契約につなげるためには、地域密着型の営業と誠実な業務遂行が求められます。
まず、地域の行政・建設業者・イベント運営会社などとの連携強化が重要です。
挨拶まわりや地域イベントへの顔出し、地元紙への広報など、地道な営業活動が信頼を積み上げます。
また、緊急対応力や柔軟なシフト体制をアピールすることで、リピート案件の獲得にもつながります。
「この会社に頼めば安心」と感じてもらうことが、最大の営業資産となるのです。
地域密着の姿勢は、従業員の採用にも好影響を与えます。
地域で働きたいというシニア層や主婦層の獲得にもつながるため、採用戦略にも直結いたします。
離職率を抑えるための人材定着・育成策
警備業界では、業務の厳しさや不規則な勤務時間から離職率が高くなりやすい傾向がございます。
特に2号警備会社においては、人材が定着せず、採用しても現場に定着しないという課題が深刻です。
そのため、持続可能な経営のためには、人材定着と育成の仕組みづくりが不可欠です。
まず重要なのは、勤務シフトの柔軟性です。
働く側のライフスタイルに配慮した勤務体制を整えることで、継続的な就業が実現しやすくなります。
さらに、現任教育や法定研修だけでなく、独自のOJT制度やメンター制度の導入も効果的です。
上司や先輩社員がフォローアップすることで、安心感と成長意欲が生まれます。
待遇面についても、ただ単に時給を上げるのではなく、賞与やインセンティブ制度などで評価を可視化することがポイントです。
加えて、交通誘導警備の重要性を再認識させることで、誇りを持って業務に取り組む姿勢が醸成されます。
高齢者・シニア人材の戦力化戦略
地方における2号警備会社では、若年層の採用が難しい一方で、シニア人材の活用が現実的な選択肢となっております。
警備業務の特性上、経験や冷静な判断力が求められる場面も多く、高齢者でも十分に活躍できるフィールドが広がっております。
シニア層は地元に根ざした人脈を持ち、地域への貢献意識も高いため、信頼性の高い業務遂行が期待できます。
採用においては、ハローワークや地域シルバー人材センターとの連携が有効です。
また、体力的な負担が少ない業務(立哨、巡回など)への配置工夫や、業務時間の短縮、連続勤務の調整も必要です。
教育体制についても、経験に応じた段階的な指導を行うことで、無理なく業務習得が可能となります。
さらに、シニア層のモチベーション向上には、社会的な役割を持てるような職場風土の醸成が求められます。
このような環境を整備することで、地方の2号警備業界において、シニア人材は極めて有効な戦力となるのです。
機械警備・DX導入による省人化と効率化
持続可能な経営を考えるうえで、業務の省力化と効率化は避けて通れません。
特に人材難が深刻な地方においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用が鍵となります。
具体的には、スマートフォンによる勤怠管理アプリの導入や、業務日報の電子化などが挙げられます。
これにより、管理者の負担が軽減され、リアルタイムでの対応も可能になります。
また、現場の配置計画にAI支援を導入することで、最適な人員配置と稼働コストの最小化が実現できます。
交通誘導警備の現場でも、ウェアラブルカメラや遠隔モニタリングの導入が徐々に進んでいます。
こうした機器は安全管理の徹底にもつながり、顧客からの信頼向上にも寄与します。
ただし、導入コストや教育の問題もあるため、段階的な導入が望まれます。
業界全体がアナログである傾向が強いため、先行的に取り組むことで差別化が図れるのです。
地方ならではの営業戦略と取引先開拓の工夫
営業力の差が、地方の2号警備会社の業績に大きく影響を与えている現状がございます。
都市部に比べ、取引先候補が限定される地方では、より丁寧で密着型の営業戦略が求められます。
まず第一に、紹介営業の活用が効果的です。
建設会社同士のつながりや地元企業のネットワークを活用し、信頼の輪を広げていく営業手法が有効です。
次に、競合との差別化ポイントを明確にして訴求する必要があります。
たとえば、24時間対応可能な体制、研修制度の充実、従業員の接遇力の高さなどを具体的にアピールすることが大切です。
また、地方自治体の入札情報や地元メディアから案件の発掘を行うなど、情報感度を高めることも営業成果につながります。
デジタル広告やWebサイトを活用したSEO・GEO対策も、今後は地方の警備会社にも必須となるでしょう。
検索からの問い合わせを獲得するためには、定期的な情報発信が鍵を握ります。
地域に根差した企業として、顔の見える営業活動とデジタル発信の両軸を整えることが求められます。
地方自治体・地域団体との連携モデルの構築
地方においては、自治体や地域団体との連携が、2号警備会社にとって大きな安定収益源となります。
警備会社が防災・防犯・交通安全といった地域課題の解決に貢献することで、信頼関係を強化し、持続的な契約獲得が可能となります。
具体的には、地域イベントの警備、選挙警備、公共施設の夜間巡回業務など、行政との連携により受託できる業務が多く存在します。
また、自治体と防災協定を結び、災害時の初動体制の一部を担う警備会社も出てきております。
このような取り組みは、地域住民への安心感にもつながり、企業イメージの向上にも貢献いたします。
地域防犯協会や町内会などの団体と連携し、高齢者の見守り業務や通学路の安全確保など、日常生活に密着したサービスも展開可能です。
これらの連携モデルは、営業を超えた地域貢献の姿勢が問われる分野でもあり、信頼と実績が重要です。
だからこそ、日頃の丁寧な対応と情報共有が非常に大切となります。
持続可能な警備経営に必要な指標と評価方法
持続可能な2号警備会社の経営には、定量的かつ実用的な評価指標の設定が不可欠でございます。
「売上」「利益」だけではなく、「定着率」「顧客リピート率」「教育実施率」などの多面的な指標で現状を把握することが大切です。
たとえば、人材定着率を高めるためには、離職者の退職理由を分析し、組織風土や業務内容の改善につなげることが求められます。
また、顧客満足度を把握するために、定期的なアンケートや現場フィードバックを実施することが効果的です。
さらに、警備員のスキルや評価を可視化するために、独自のランク制度や資格取得支援制度を設けている企業もあります。
教育研修の実施率や安全対策の実施状況も、警備業務の質を担保するうえで重要な評価軸となります。
地方では特に「継続的な信頼獲得」が重要視されるため、サービス品質を数値で示す努力が経営の安定につながります。
結論・まとめ
本記事では、地方で2号警備業を展開する中小企業の経営者・幹部・人事担当者向けに、持続可能な経営モデルの在り方について解説してまいりました。
人口減少や採用難、高齢化といった地方特有の課題に直面しながらも、地域密着型の営業、人材の活用、業務の多角化、行政連携、DX推進など、多様な手法によって突破口は存在いたします。
重要なのは、「地域に必要とされる企業」としての存在意義を明確にし、地域社会との共存を軸にした経営を構築することです。
一過性の売上や採用成功だけでなく、長期的に選ばれ続ける企業となるために、日々の業務と経営判断の積み重ねが求められます。
今後も警備業界の動向や法制度の変化に敏感に対応しながら、地方の中小警備会社が自社らしい持続可能な経営モデルを築いていかれることを、心より願っております。
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