【2号警備会社向け】事業の採算性をどう上げる?業務改善の視点

2025年8月7日配信

カテゴリ:
DX 営業 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。本コラム記事では、2号警備業を展開する中小企業の経営者・幹部に向けて、採算性を向上させるための業務改善の視点を解説します。交通誘導警備をはじめとする2号警備会社において直面しやすい経営課題、人材の採用と教育、シフト管理、DX推進などの改善策を段階的に整理し、持続可能な経営へとつなげるヒントを提供いたします。

なぜ2号警備業に採算性の課題が生まれるのか?

2号警備業は、人手を中心に提供される労働集約型サービスです。
交通誘導警備の現場では、配置基準に基づいて警備員を確保しなければなりません。
そのため、突発的な人材不足が業務に大きく影響を及ぼします。

一方、契約単価の低下が進む中で、警備員の人件費は上昇傾向にあります。
結果として、利益率が下がり、採算性に苦しむ2号警備会社が増加しています。
特に中小企業では、固定費の負担が大きく、赤字経営に陥るリスクも高まります。

また、天候などの外部要因によって業務がキャンセルになることもあります。
これは、当日の収益減少だけでなく、警備スタッフのモチベーション低下にもつながります。
こうした要素が複雑に絡み合い、採算性の確保が難しくなっているのが現実です。

したがって、経営視点から現場の構造を見直す必要があります。

中小の2号警備会社が直面するコスト構造の現実とは

2号警備業におけるコスト構造は、ほとんどが人件費によって構成されています。
たとえば、警備員1人を1日稼働させた場合の経費は、日給だけでなく、交通費・制服費・保険料も含まれます。

このように、可視化されていない間接コストが意外に多いのが特徴です。
中小企業の場合、経理や管理部門のリソースも限られており、細かい原価計算が難しい場合もあります。

さらに、教育や指導にかかる時間的・金銭的コストも無視できません。
新人を育成するには、一定期間、経験豊富な警備員が同行する必要があります。
この間、戦力としての稼働が制限されるため、実質的な負担は二重になります。

また、顧客からの価格交渉が厳しい場面も多く見られます。
業界としての地位が高くないことも、価格決定力の弱さに繋がっているのが現状です。
こうした構造的な課題が、採算性を阻害する大きな要因となっています。

人件費の最適化が採算性改善のカギを握る理由

2号警備会社の経営において、人件費は最大の経営課題といえます。
この人件費を適切に管理し、最適化することが、業績向上に直結します。

まず、適切な給与設計が求められます。
過度に高い給与は経営を圧迫しますが、安すぎると人材が集まりません。
地域相場や競合他社とのバランスを見極めることが重要です。

次に、無駄な待機時間や空き時間の削減も重要な視点です。
案件間の移動時間が長すぎると、稼働率が下がり、生産性が低下します。
効率的なスケジューリングと、配置場所の最適化が不可欠です。

また、シフトに無駄がある場合は即座に見直すべきです。
繁忙期と閑散期の差を明確に把握し、変動に応じた柔軟な人員計画を策定しましょう。
これにより、不要な人件費の発生を防ぐことが可能となります。

勤怠・シフト管理の効率化による業務改善手法

勤怠管理やシフト作成は、2号警備業における重要な業務の一つです。
特に交通誘導警備では、日々の配置人数や現場の変更に迅速な対応が求められます。

紙やエクセルでの管理を続けていると、人的ミスが生じやすくなります。
その結果、配置ミスや無断欠勤の見落としにつながる恐れがあります。

近年では、クラウド型のシフト管理システムの導入が注目されています。
導入により、リアルタイムでの出勤管理やスケジュール調整が可能になります。
また、スマートフォンを通じた打刻・連絡機能もあり、現場との連携が強化されます。

管理者の作業時間も大幅に削減され、業務効率の改善が図れます。
さらに、過去データの分析によって、最適な人員配置の指針が得られます。
これは、継続的な業務改善につながる大きな武器になります。

現場業務におけるムリ・ムダ・ムラの排除と見直し

現場の業務における「ムリ・ムダ・ムラ」は、利益を圧迫する要因です。
たとえば、同じ場所に複数の警備員を配置しているケースがあります。
本来なら1人で十分な場所に2人を置いてしまうと、コストが倍増します。

また、待機時間が長すぎる場合も問題です。
1日8時間勤務のうち、実質的な業務時間が5時間未満であれば、無駄が発生しています。

業務マニュアルの見直しや、作業工程の再設計も有効です。
「この作業は本当に必要か?」という視点で、現場業務を定期的に見直しましょう。

現場の警備員からのヒアリングも欠かせません。
彼らは現場のリアルな課題を最もよく知っている存在です。
その声を経営に反映させることが、業務改善の第一歩となります。

教育・研修の充実による人材の戦力化と定着率向上策

警備業界では、採用した人材をいかに早期に戦力化できるかが重要です。
未経験者が多く入職するため、教育と研修の質が問われます。

まず、基本教育の見直しが必要です。
警備業法に基づく教育だけでなく、現場対応力を高める実践的な内容を盛り込みましょう。

現場でのOJTも重要ですが、体系的なフォローアップ研修の導入も効果的です。
たとえば、半年後・1年後に再教育を実施することで、定着とスキル向上を図れます。

教育の成果を「見える化」する取り組みも重要です。
研修前後の評価やスキルチェック表を活用することで、成長実感が生まれます。

これらの取り組みにより、離職率の低下と採算性向上が同時に実現できます。
警備員一人ひとりの質が上がれば、結果として企業全体の競争力にもつながります。

交通誘導の業務品質を保ちつつ利益率を上げる方法

交通誘導警備は、2号警備業務の中核をなす分野の一つです。
その業務品質が低下すれば、クライアントとの契約継続にも支障が生じます。

しかし、業務品質を維持しながら利益率を高めることは可能です。
そのためには、業務の「見える化」と「標準化」が不可欠となります。

まず、各警備員の業務評価制度を導入することが有効です。
定期的な評価とフィードバックを通じて、モチベーションを維持できます。

さらに、現場ごとのリスク評価を実施し、効率的な配置を検討することが重要です。
たとえば、交通量や歩行者の流れを数値化し、最小限の人員で最大の効果を出す工夫が必要です。

また、顧客に対するサービスレベルの基準を明文化することで、業務の属人化を防げます。
これは、ベテランがいない現場でも一定の品質を保つことに寄与します。

加えて、現場スタッフの報連相の質を高めることも品質維持につながります。
報告書のフォーマット統一や定期的なオンライン共有などで、経営者も現場の動向を把握できます。

このように、品質と効率の両立は、2号警備会社における持続可能な経営戦略として欠かせない視点です。

警備業務のDX推進による収益構造の改善ポイント

警備業界においても、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が進んでいます。
特に2号警備会社では、DXによって収益構造の改善が期待されています。

たとえば、シフト管理や勤怠記録をクラウド上で一元化することが可能です。
これにより、事務処理のミスや重複作業を減らすことができます。

また、GPSによる位置情報の取得は、現場配置の最適化に役立ちます。
移動経路の効率化により、無駄な移動時間の削減にもつながります。

顧客への報告書をデジタル化することで、報告スピードも向上します。
これは、サービス品質の向上と顧客満足度の向上の双方に貢献します。

さらに、教育分野ではeラーニングを導入することで、場所や時間にとらわれない教育が可能です。
現場の隙間時間を有効に活用できるため、研修コストの抑制にもつながります。

ただし、DXは単なるITツール導入にとどまりません。
「業務プロセスの見直し」と「従業員の意識変革」をセットで進める必要があります。

成功するDXには、経営者のリーダーシップが不可欠です。
現場との対話を重ねながら段階的に導入することが成功のカギとなります。

外注・委託活用の判断基準と採算性への影響分析

2号警備会社の経営改善を考える上で、外注や委託の活用は一つの選択肢です。
ただし、安易な外注化は逆に採算性を悪化させるリスクもあります。

外注化のメリットは、繁忙期の人材不足を一時的に補える点です。
特に採用難が深刻な地域では、即戦力を確保する手段として機能します。

また、自社で対応が難しい専門現場や遠隔地の案件では、委託が有効です。
リスク分散や管理負担の軽減にもつながる可能性があります。

一方で、外注コストは基本的に高く設定される傾向があります。
利益率が低い案件を外注化すれば、自社の取り分が極端に減少する可能性もあります。

さらに、外注先の品質管理が難しいという課題もあります。
クレーム発生時の責任の所在を明確にしておかなければ、信頼低下につながります。

したがって、外注・委託を活用する際は、事前のコスト試算と品質基準の明確化が不可欠です。
また、社内で一定の基準を設け、案件ごとに判断するフローの整備が求められます。

経営の視点からは、「外注ありき」ではなく、「利益を守るための戦略」として慎重な活用が必要です。

経営者目線で見直す2号警備の業務改善と未来戦略

2号警備会社の業務改善は、現場主導だけでは不十分です。
経営者自身が全体最適の視点から戦略的に取り組む必要があります。

まず、収益構造を可視化することが重要です。
案件別の利益率や稼働率を定期的に分析し、経営判断に活かしましょう。

次に、組織のコミュニケーション体制の強化が求められます。
現場の声を吸い上げ、改善に反映する「ボトムアップ経営」を導入することが有効です。

また、人材育成の計画を中長期で描くことも不可欠です。
警備業界全体で人材不足が進行するなか、継続的な育成と定着策が鍵となります。

営業戦略においても、単価アップを見据えた提案型営業の展開が求められます。
価格競争に陥らないためには、顧客への付加価値提供が必要です。

さらに、他社との差別化を図るためには、自社の強みを言語化し、情報発信することも大切です。
Webサイトやパンフレットに、業務実績・教育体制・品質基準などを明記しましょう。

こうした取り組みを積み重ねることで、2号警備会社は経営の安定性と持続可能性を確保できます。

結論・まとめ

本記事では、2号警備会社が採算性を高めるための業務改善策を多角的に解説しました。
交通誘導警備をはじめとする業務の特性を踏まえ、課題の本質を見極めることが重要です。

人件費の見直し、教育の強化、シフトの最適化など、即効性のある取り組みも多く存在します。
また、デジタル技術を活用したDX推進は、今後の業界競争に勝ち抜くための大きな武器となります。

一方で、単なるコスト削減ではなく、品質維持と信頼構築を両立するバランス感覚も求められます。
警備員の教育・定着といった地道な取り組みが、最終的には収益力を左右することも忘れてはなりません。

採算性の改善は一朝一夕には実現しませんが、戦略的な視点で一つひとつ積み重ねることで、
中小の2号警備会社でも十分に実現可能です。

最後に申し上げたいのは、現場だけでなく、経営そのものの「見直し」が業務改善の第一歩であるということです。
ぜひ、本記事でご紹介した内容を参考に、自社の状況を冷静に分析し、具体的な改善行動につなげていただければ幸いです。

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