施設警備会社への新規参入のポイントとメリットとは?徹底解説!

2025年9月29日配信

カテゴリ:
営業 採用 育成 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。本コラムは、施設警備業に興味を持つ中小企業の経営者・幹部向けに、新規参入時に押さえるべきポイントやメリットを徹底解説します。法令、採用、人材育成、経営戦略などを体系的に整理し、成功に導くための具体策を示します。

施設警備業界の現状と市場規模を理解する

施設警備業界は、日本国内で安定した需要を持つ産業です。オフィスビル、商業施設、病院、学校など、多くの施設で常駐警備が求められています。社会の安全意識が高まる中、施設警備の仕事はますます重要になっております。

近年では、少子高齢化による労働人口減少の影響で、施設警備会社における採用難が課題となっております。特に中小企業では、人材確保が経営上の最重要課題の一つとなっております。そのため、採用戦略と人材育成が、業績向上の鍵を握ると言えるでしょう。

施設警備業界の市場規模は拡大傾向にあります。日本警備業協会が発表している統計によると、施設警備分野の売上は毎年増加しており、特に都市部では継続的な需要が見込まれております。

また、近年ではICT技術やAIカメラを活用したデジタル化が進んでおり、業務効率化や労働負担軽減にもつながっております。これにより、施設警備会社の経営は従来型から脱却し、新たなビジネスモデルの構築が求められています。

ただし、大手施設警備会社が市場シェアの大部分を占めている現状では、中小企業が新規参入するには、独自性や地域密着型の強みを活かす戦略が不可欠です。地域での信頼構築や、顧客ニーズに即した柔軟な対応が成功の鍵となります。

施設警備業界の現状を正確に把握することで、自社が参入すべき分野やサービス内容を明確にでき、経営戦略の精度を高めることが可能となります。

新規参入を検討する企業が押さえるべき基本知識

施設警備会社を新たに立ち上げるためには、警備業法の理解が欠かせません。警備業法とは、警備業を適正に運営するために制定された法律であり、施設警備業務の範囲や責任、警備員の資格要件などが明記されています。

まず、警備業を営むためには、都道府県公安委員会への認定申請が必要です。この認定を受けなければ、施設警備の仕事を請け負うことはできません。申請には、警備員指導教育責任者の配置や事務所の設備要件などが含まれます。

また、施設警備業務は、1号警備業務と呼ばれる区分に含まれます。1号警備業務には、常駐警備、巡回警備、出入管理業務が含まれ、ビルや商業施設などでの警備が中心です。中小企業が参入する場合、まずはこの1号警備業務から開始するケースが多いです。

さらに、個人情報保護法や労働基準法など、関連する法令も熟知する必要があります。施設警備会社は、顧客や入居者の情報を扱うため、法令遵守を徹底しなければなりません。

基本知識を正確に理解することで、法令違反やトラブルを未然に防ぎ、安定した経営を実現することが可能になります。特に中小企業では、経営者自身が法令を把握し、組織全体に周知徹底することが求められます。

参入のために必要な資格・人材配置要件とは

施設警備会社を設立する際、最も重要な要件の一つが「警備員指導教育責任者」の配置です。この資格は国家資格であり、警備員の教育・指導を行う責任者に必要となります。

警備員指導教育責任者は、一定の実務経験を有し、公安委員会が実施する講習を修了することで資格を取得できます。この資格者がいなければ、施設警備業務を開始することはできません。

また、警備員の採用も不可欠です。中小企業が新規参入する場合、初期段階では少人数の警備員からスタートするケースが多いです。しかし、顧客が増えるにつれ、迅速に人員を増やす体制が求められます。

採用する警備員は、18歳以上であり、欠格事由に該当しないことが条件です。欠格事由には、過去の犯罪歴や暴力団関係者でないことなどが含まれます。

さらに、施設警備業務では24時間体制でのシフト管理が必要な場合もあり、柔軟な勤務形態を整備することが求められます。採用活動では、シニア人材の活用や、女性警備員の登用も視野に入れると良いでしょう。

人材配置要件を満たし、教育体制を整えることで、顧客から信頼される施設警備会社を構築することができます。

許認可申請の流れと具体的な手続きポイント

施設警備会社を開業するためには、公安委員会への認定申請が必須です。まず、事務所を設置し、必要な設備や書類を整備します。その後、所轄の警察署を通じて申請を行います。

申請書類には、事業計画書や役員名簿、警備員指導教育責任者の資格証明書などが含まれます。提出書類に不備があると認定が遅れるため、慎重な準備が必要です。

認定が下りるまでには、通常1~2か月程度かかります。その間、公安委員会による審査や現地確認が行われます。

認定を受けた後も、事業運営中は定期的な報告義務があります。例えば、警備員の採用・退職や業務内容の変更があった場合、速やかに公安委員会へ届け出る必要があります。

中小企業では、手続きの煩雑さが課題となることが多いため、専門家に相談することも有効です。行政書士等を活用することで、スムーズな認定取得が可能となります。

認定申請は施設警備会社としての信頼性を高める第一歩です。法令を遵守し、適正な運営体制を整えることで、顧客から安心して業務を委託される施設警備会社となります。

施設警備事業の初期投資と必要な設備・システム

施設警備業を始めるには、一定の初期投資が必要です。主な費用としては、事務所の賃料、設備費用、人件費、教育費用などが挙げられます。

特に重要なのが、防犯カメラや通信機器、制服、車両などの警備業務に必要な備品です。これらは顧客の安全を守るために欠かせないものであり、品質の高いものを導入することが望まれます。

また、近年ではクラウド型の警備システムが普及しており、デジタル化による業務効率化が進んでいます。これにより、巡回記録や勤怠管理を一元化でき、経営管理も容易になります。

初期投資を抑えるためには、リース契約を活用する方法もあります。ただし、長期的には買い取りの方がコストメリットが高い場合もあるため、慎重に判断する必要があります。

さらに、施設警備会社としての信頼性を高めるためには、教育施設や研修設備の整備も重要です。採用した人材を即戦力化するためには、実践的な教育環境が不可欠です。

初期投資計画を綿密に立て、無駄のない資金活用を行うことで、中小企業でも効率的に施設警備業をスタートできます。

中小企業が参入するメリットと差別化戦略

中小企業が施設警備業に参入する最大のメリットは、地域密着型の経営ができる点です。地域に根差したサービスを提供することで、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。

大手施設警備会社では対応しきれない細やかなニーズに応えることができるため、差別化が可能です。たとえば、商店街や地域イベントなど、限定的なエリアでの警備に特化する戦略が有効です。

さらに、中小企業は意思決定が早く、柔軟なサービス変更が可能です。顧客からの要望に迅速に対応できることは、顧客満足度を高め、継続契約につながります。

ただし、競合との差別化を図るためには、独自の強みを明確にすることが重要です。教育制度の充実や、採用戦略での工夫、ICT活用による業務効率化など、具体的な取り組みを打ち出す必要があります。

中小企業だからこそ実現できるきめ細やかなサービスを武器に、顧客との信頼関係を築くことが成功の鍵となります。

収益モデルと安定経営を実現するポイント

施設警備会社の収益は、顧客からの委託料が中心です。継続的な契約を獲得することで、安定した収益を確保できます。

まずは少数の顧客から始め、サービス品質を高めながら徐々に契約を拡大していくことが重要です。特に、施設警備では信頼性が最も重視されるため、初期段階から高品質なサービスを提供することが求められます。

また、収益を安定させるためには、人件費管理が不可欠です。過剰な人員配置は経営を圧迫するため、シフト管理システムを活用して効率的な人材配置を行うことが望まれます。

さらに、単価向上を図るためには、付加価値サービスの提供が有効です。例えば、防犯コンサルティングや緊急対応サービスなどを追加することで、顧客満足度と収益性を同時に向上させることが可能です。

安定経営を実現するには、経営者が現場を理解し、適切な経営判断を下すことが不可欠です。現場と経営層の連携を強化し、組織全体で経営課題に取り組む姿勢が求められます。

施設警備会社における人材育成と教育体制の構築

施設警備会社において、人材育成は業績向上に直結する重要な要素です。採用した人材を継続的に教育することで、サービス品質を維持・向上させることができます。

まず、採用時には基本教育を徹底します。警備業法に基づく基本教育では、警備員として必要な法令知識や接遇マナーを学びます。

その後、現場に応じた実践的な教育を行い、即戦力として活躍できる人材を育成します。中小企業では、教育コストを抑える工夫も必要です。オンライン研修や地域連携を活用することで、効率的な教育が可能になります。

また、人材育成ではキャリアパスを明確にすることが重要です。警備員が自身の成長を実感できる仕組みを整えることで、離職率の低下につながります。

教育体制の充実は、顧客からの信頼にも直結します。高品質な施設警備サービスを提供するためには、継続的な教育と評価制度の導入が欠かせません。

参入時に注意すべきリスクと法令遵守対策

施設警備業務には、法令違反や事故などのリスクが伴います。新規参入時には、これらのリスクを適切に管理することが不可欠です。

まず、警備員の法令遵守を徹底するため、定期的な教育を実施します。特に、労働基準法や個人情報保護法に関する知識は必須です。

次に、事故防止策として、現場ごとの危険予知活動を行います。顧客施設の特徴を把握し、事前にリスクを洗い出すことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、保険加入も重要なリスク対策です。施設警備業務に特化した損害賠償保険に加入することで、万が一の事故にも対応できます。

中小企業では、経営資源が限られているため、リスク管理体制の整備が後回しになりがちです。しかし、法令遵守と安全管理を優先することで、顧客からの信頼を獲得できます。

新規参入を成功させるためのまとめ

施設警備会社の新規参入には、多くの準備と努力が必要です。法令遵守、人材採用、教育体制、経営戦略など、複数の要素を総合的に整備することが成功の鍵となります。

中小企業が参入する場合、地域密着型のサービス提供や迅速な意思決定を強みとして活かすことが重要です。顧客との信頼関係を築きながら、着実に事業を拡大していくことが求められます。

施設警備業界は、社会に貢献できるやりがいのある仕事です。中小企業経営者が明確なビジョンを持ち、戦略的に参入することで、安定した経営と地域社会への貢献を両立することが可能となります。

本コラムでは、施設警備会社への新規参入におけるポイントとメリットを解説しました。

施設警備業界は、今後も安定した需要が見込まれる成長分野です。中小企業が参入することで、地域に根差したサービスを提供し、顧客の信頼を獲得するチャンスがあります。

しかし、参入には法令遵守や人材育成、経営戦略の策定など、多岐にわたる課題が存在します。経営者自身が正しい知識を持ち、計画的に準備を進めることが不可欠です。

施設警備会社を成功に導くためには、顧客満足度を第一に考えたサービス提供と、現場と経営の一体化が求められます。

中小企業の経営者・幹部は、これらのポイントを踏まえ、持続可能な施設警備会社を構築することを目指していただきたいです。

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