中小警備会社が直面する競合激化と経営打開策とは?

2025年10月17日配信

カテゴリ:
DX 営業 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。警備業界では、価格競争や人材不足が深刻化しています。本コラムでは、中小警備会社が直面する競合激化の実態を整理し、経営改善や差別化、人材育成、DX推進などを通じて持続的成長を実現するための打開策を詳しく解説します。

1.競合激化が進む警備業界の現状と市場環境の変化

警備業界は近年、都市再開発や公共施設の増加などで需要が安定しています。しかしその一方で、事業者数の増加により競合が激化し、特に中小警備会社にとって受注環境は厳しさを増しています。
大手企業はブランド力と資本力を背景に、低価格での大規模案件を獲得する傾向があります。これに対し、中小企業は地域密着型の強みを持ちながらも、価格競争に巻き込まれがちです。
また、警備員の高齢化や人材不足により、現場の質の維持が難しくなるケースも少なくありません。業務内容も施設警備・交通誘導・機械警備など多様化し、専門性が問われる時代になりました。
このように、単なる「人を派遣するだけの業務」から、「顧客に安心と信頼を提供するサービス業」への変革が求められています。
中小警備会社が生き残るためには、現状を正確に把握し、差別化の軸を明確にする経営戦略が欠かせません。

2.中小警備会社が直面する経営課題とは?

中小警備会社が抱える課題は多岐にわたります。最も深刻なのは人材確保と定着率の低下です。求人広告を出しても応募が少なく、採用単価は年々上昇しています。
また、原価の約7割を人件費が占める構造上、単価競争が続くと利益率が急速に低下します。これが経営の安定を脅かす要因となっています。
さらに、現場の品質を維持するための教育コストや、指導教育責任者の不足も課題です。教育体制が不十分な企業では、クレーム発生率や契約更新率の低下につながる恐れがあります。
このような課題を解決するには、「経営の見える化」と「組織力の強化」が鍵となります。単なる現場管理にとどまらず、人材育成・営業戦略・デジタル管理などを一体化した経営基盤の構築が不可欠です。

3.価格競争の構造的背景とその影響

警備業界の価格競争は、長年の構造的課題に起因しています。公共工事や大型施設では入札制度が中心であり、最安値を提示した業者が落札しやすい状況にあります。
その結果、安価な契約が続き、適正な人件費や教育投資が行えなくなるという悪循環が生じています。
一方、顧客企業のコスト削減意識も強く、「安ければよい」という判断基準が根強い点も問題です。こうした背景が、業界全体の品質低下を招いています。
しかし、価格競争の中でも生き残る企業は、「安さ」ではなく「信頼」を売っています。たとえば、現場対応力や報告精度、緊急時対応など、顧客の安心感を支える要素を明確に打ち出しています。
中小警備会社が今後持続的に成長するには、価格競争から脱却し、付加価値経営へと舵を切る必要があります。

4.競合他社と差別化するための「サービス品質」戦略

競合が多い市場では、「品質で勝つ」戦略が最も有効です。警備員の対応力、制服の清潔感、報告書の正確性など、細部にこそ差別化のチャンスがあります。
顧客満足度を向上させるためには、定期的な現場評価や顧客アンケートを通じた改善が有効です。また、警備員へのフィードバックを欠かさない文化づくりも大切です。
さらに、サービス品質をデータで示す「可視化」も重要です。報告書や点検記録をデジタル化することで、顧客に信頼性をアピールできます。
教育制度や表彰制度を整備することで、社員のモチベーション向上と品質維持を両立することも可能です。
つまり、サービス品質の向上こそが、価格競争を超える最大の武器となるのです。

5.人材戦略による競争優位の確立方法

人材は警備会社の最大の経営資源です。採用・教育・評価の一貫した仕組みを整備することが、競争優位を生みます。
まず、採用面ではシニア人材・女性・外国人材の活用を検討することが有効です。多様な人材を受け入れる柔軟な体制を整えることで、採用の裾野が広がります。
教育では、OJTだけでなく、eラーニングや動画教材などを取り入れ、効率的なスキル定着を図ります。
また、評価制度の明確化により、社員が成長を実感できる環境をつくることが重要です。これにより、離職率の低下と現場品質の安定化が実現します。
人材戦略を経営戦略の中心に据えることが、真の差別化につながるのです。

6.教育・研修体制の充実がもたらす企業価値の向上

教育・研修の充実は、警備業務の品質を左右します。特に中小警備会社では、教育の仕組みが属人的になりがちです。
体系的な教育制度を設けることで、警備員一人ひとりの力量を均一化できます。指導教育責任者が中心となり、現任教育や定期講習を計画的に実施することが求められます。
また、教育内容をデジタル化することで、学習履歴や評価を管理しやすくなります。
教育の目的は単なる知識の伝達ではなく、「顧客に信頼される人材を育てること」です。
教育投資は短期的にはコストに見えますが、長期的にはクレーム削減や契約更新率向上という形で確実に回収されます。

7.デジタル化・DXによる業務効率化とコスト削減

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、中小警備会社にとっても大きなチャンスです。
勤務シフトや巡回記録、報告書をクラウド管理することで、業務効率が大幅に向上します。
また、GPSやAIカメラを活用した見守りシステムを導入すれば、現場管理の精度が高まり、トラブル対応の迅速化が可能です。
DXの導入は単なる効率化ではなく、「経営の透明化」にもつながります。経営者が現場データをリアルタイムで把握できれば、迅速な意思決定が可能になります。
デジタル化は、限られた人員で最大の成果を上げるための強力な武器となるのです。

8.地域密着型の営業・広報戦略で新たな顧客を獲得する

中小警備会社にとって、地域密着型の営業は非常に有効です。
地域のイベント・商店街・自治体などとの連携を強化することで、新たな契約機会を生み出せます。
さらに、WebサイトやSNSを活用し、実績紹介や社員の活動を発信することで、信頼を可視化できます。
SEOやGEO対策を組み合わせ、地域名+警備での検索上位を狙うことも重要です。
地域に根差した警備会社として認知されることが、安定した受注基盤の構築につながります。

9.持続可能な経営モデルに向けたパートナーシップ戦略

警備業は単独ではなく、他業種との連携によって新たな価値を生み出せます。
たとえば、ビルメンテナンス業や清掃業と連携し、トータル管理サービスを提供するモデルが注目されています。
また、協力会社とのネットワークを構築することで、大規模案件への対応力も高まります。
こうしたパートナーシップは、業績の安定化とリスク分散に大きく寄与します。
中小企業庁も連携事業の推進を支援しており、補助金や助成金の活用も有効な手段です。

10.結論・まとめ:競合激化を成長機会に変えるために

警備業界の競争は厳しさを増していますが、それは同時に進化のチャンスでもあります。
中小警備会社が成長を続けるためには、「安さ」ではなく「信頼」「品質」「人材力」で勝負する姿勢が欠かせません。
教育とDXを両輪とした経営改革を進めることで、限られたリソースでも高付加価値を実現できます。
そして、地域や顧客との信頼関係を深めることが、長期的な安定経営への道となります。
競合激化の時代こそ、自社の強みを明確にし、未来志向の経営に踏み出すことが求められています。

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