【警備会社の事業計画】新規参入で成功するためのビジネスモデル

2025年12月11日配信

カテゴリ:
DX 営業 定着 採用 育成 警備業界

株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。警備会社に新規参入する中小企業向けに、事業計画の立て方、収益モデル、法令遵守、採用・教育、営業戦略まで体系的にまとめた実践ガイド。成功する可能性を高める警備ビジネスモデルの構築方法を詳しく解説します。

※法律の詳細な解釈や個別判断は行わず、一般的な内容をご紹介しています。

警備会社の事業計画づくりに必要な基礎知識とは

警備会社を立ち上げる際、最初のステップとなるのが「事業計画の作成」です。異業種から警備業に新規参入する企業が増えている今、事業計画の質が参入後の成功を左右するといっても過言ではありません。

警備業は、警察庁が公表する「警備業の概況」でも示されている通り、中小企業が大多数を占める市場であり、地域社会の安全維持に大きな役割を果たしています。そのため、事業運営の基盤を整えることが最初の重要な工程となります。

事業計画には、警備業界の市場理解、法令遵守体制の整備、営業戦略・人材戦略、収益計算および初期投資計画、業務品質を担保する社内仕組みなどの要素を含める必要があります。

また警備業は、警備業法によって教育や名簿管理などの運用ルールが定められています。重要なのは、警察庁や公安委員会が提示する基準に沿って、適切に運営できる体制を最初から設計することです。

事業計画は単に数字を並べるだけではなく、今後の組織運営、人材採用、教育、営業活動までを一貫させた「運営基盤の設計書」であることを理解する必要があります。

※法律の詳細な解釈や個別判断は行わず、一般的な内容をご紹介しています。

新規参入時に押さえるべき警備業界の市場環境と需要動向

警備会社の事業計画をつくるうえで、最も重要となるのが「警備業界の市場環境」を正しく把握することです。警察庁の資料によれば、警備業者数は全国で増加傾向にあり、特に中小企業の参入が活発化しています。

需要は施設警備、交通誘導警備、巡回警備、雑踏警備など多岐にわたりますが、なかでも交通誘導と施設警備の需要が高いことが特徴です。警備需要が増加している主な理由は次の通りです。

1)インフラ整備や建設需要の継続

2)労働人口の減少によるマンパワー需要の高まり

3)小売・商業施設のデジタル化に伴う警備品質の高度化

4)地域社会や自治体における安全対策の強化

5)イベント需要の増加に伴う雑踏警備ニーズの拡大

これらは警察庁や内閣府が公表する資料でも示されており、警備員の役割が安定的かつ社会的に必要とされていることがわかります。特に、地域社会の安全維持という観点から、警備員の配置は欠かせないものとなり、さまざまな業種が警備サービスを求めています。

新規参入する企業は、この市場環境を理解したうえで、「どの分野に強みを出すのか」「地域特性をどう活かすか」といった事業戦略を構築する必要があります。どの市場を狙うかによって、採用する人材像、教育内容、営業活動の方向性が変わり、最終的には収益モデルにも大きく影響します。

警備業法と認定制度を踏まえた事業計画の前提条件

警備会社として事業を開始するためには、警備業法に基づく「公安委員会の認定」を受けなければなりません。認定制度の概要は、警察庁が公表している資料で次のように示されています。

1)事業者(法人の場合は役員)が欠格事由に該当しないこと

2)営業所が明確に設置されていること

3)名簿や教育などの管理体制を構築できること

4)申請に必要な書類が整っていること

また警備業法では、警備員の教育区分(新任・現任)、業務区分(施設、交通誘導、雑踏など)、指揮命令系統の整備などが重要事項として定められています。事業計画では、法令遵守に必要な体制をあらかじめ検討しておく必要があります。具体的には、

1)教育担当者の選任

2)教育計画と記録管理の方法

3)警備員名簿・教育記録の作成

4)指揮命令系統の設計

5)有資格者配置の方針

などを含めることで、許認可取得後の運営がスムーズになります。

警備業法に関する解釈や具体的な判断は専門家に委ねるべきですが、一般的な前提として「法令遵守体制を最初から設計すること」はすべての警備会社に求められる基本条件です。

※法律の詳細な解釈や個別判断は行わず、一般的な内容をご紹介しています。

警備会社の主要ビジネスモデルと収益構造を理解する

新規参入者にとって最も重要なテーマのひとつが「ビジネスモデルの理解」です。警備会社の収益源は主に「警備員の配置による売上」であり、労働集約型のビジネスである点が特徴です。

■ 主なビジネスモデル

施設警備(1号警備)
 商業施設、オフィスビル、病院、学校などで常駐・巡回業務を行うモデル。

交通誘導警備(2号警備)
 道路工事や建設現場での誘導業務。新規参入が最も多い領域。

雑踏・イベント警備
 イベント会場での来場者誘導、安全確保を担う。

巡回警備
 複数施設を巡回する形態で、少人数でも運営しやすい。

機械警備(警備機器・遠隔監視)
 初期投資が必要だが、人的依存度を下げやすいモデル。

■ 収益構造の基本

1)売上=単価×配置人数×稼働日数

2)コストの7〜9割は人件費

3)利益率は業務特性・現場管理・人材定着で変動

4)長期契約が多く収益が安定しやすい

警察庁の資料でも、警備業の売上構造の多くが人件費で構成されていることが示されており、人材戦略と収益の関係が密接であることがわかります。事業計画では、この収益構造を踏まえて、採用計画・教育計画・現場管理・営業戦略などを総合的に設計する必要があります。

ターゲット市場別に考える事業ポジションのつくり方

警備業は分野によって求められる専門性が異なります。そのため事業計画をつくる際には、ターゲット市場を明確にすることが不可欠です。ターゲット市場は主に次のように分類できます。

1)建設・土木向け交通誘導警備(需要が大きい・新規参入しやすい)

2)商業施設・病院向け施設警備(教育制度・品質管理が重要)

3)マンション・オフィス向け日常警備(長期契約が多い)

4)イベント・娯楽施設向け雑踏警備(繁閑差が大きい)

5)地域巡回警備・防犯モデル(自治体需要との連携可能性)

ターゲット市場を明確にすると、営業アプローチ、採用する人材像、教育内容、必要な資格者、価格設定などの戦略が明確になります。

新規参入企業が成功するためには、「地域×業務」の2軸でポジションを作ることが効果的です。例えば「地域密着型の交通誘導に強い警備会社」といった専門特化は、顧客にとってわかりやすく、差別化のポイントになります。

新規参入企業が成功するための差別化戦略の設計

警備業は競合が多いため、差別化戦略が重要です。差別化といっても、警備業法に定められた業務内容そのものは大きく変えられないため、戦略の軸は以下のようになります。

■ 差別化の主なポイント

1)教育水準の高さを示す(新任・現任教育の充実)

2)現場のマネジメント体制を強化し、品質を安定化させる

3)顧客とのコミュニケーション力を高める

4)業務特化(交通誘導特化・巡回特化など)

5)有資格者の積極育成による品質向上

警察庁の資料にある通り、警備員教育は事業者の重要な責務であり、教育の質を高めることは差別化と品質向上につながります。また、地域状況に合わせた適正価格での提案、現場の課題を踏まえた改善提案など、「営業力」「改善力」も差別化のポイントとなります。

警備員の採用・教育・資格取得を計画に組み込む方法

警備事業の成否は、人材の確保と教育体制に大きく左右されます。警察庁の資料にもあるように、警備員は新任教育・現任教育を受ける必要があり、教育記録の管理も事業者の責務とされています。事業計画に盛り込むべき要素としては、

1)採用ターゲット(シニア・フルタイム・ダブルワークなど)

2)応募獲得戦略(求人媒体・紹介・地域ネットワーク)

3)新任教育の実施方法

4)現任教育のスケジュール

5)資格取得支援(1号・2号・雑踏・交通誘導など)

6)人材定着のための勤務環境整備

7)教育記録の適正な管理方法

これらは警備業法に沿った一般的な運用であり、非弁行為に触れない範囲で説明しています。新規参入企業は、教育体制を事業計画に組み込むことで、認定取得後のスムーズな運営を実現できます。

収益計画の作成と必要な初期投資・運転資金の考え方

警備会社の収益計画は「配置人数」「単価」「稼働率」で決まります。収益モデルの特徴として、人件費比率が高く、教育・採用コストが重要となる点が挙げられます。

■ 初期投資の主な項目

1)営業所の設置費

2)事務用品・PC等

3)制服・警備用品の購入

4)教育実施に必要な費用

5)認定申請等に伴う手続き費

6)採用広告費

■ 運転資金の考え方

警備業は請求〜入金までのタイムラグが発生しやすく、最初の数ヶ月は運転資金が必要となります。事業計画では、

1)3〜6ヶ月分の人件費

2)管理者の給与

3)現場移動費・教育費

などを十分に見込むことが重要です。警備業は安定収益型の事業ですが、初期の資金計画が不十分で倒れてしまう事例もあるため、慎重な計画が求められます。

営業戦略と取引先獲得のための行動計画づくり

警備会社の営業戦略は「専門特化」と「地域密着」を軸に設計するのが一般的です。特に新規参入企業は実績が乏しいため、顧客に安心感を与える提案が求められます。新規参入企業がとるべき主な営業戦略は以下の通りです。

  • 建設会社・工事会社への訪問営業

  • 商業施設・物流施設・病院向けの提案活動

  • 地域イベント主催者へのアプローチ

  • 既存ネットワークを活かした紹介営業

  • 見積・提案書の丁寧な作成

  • 現場ニーズを踏まえた改善提案

  • 品質管理体制を明確に示す営業資料の作成

事業計画では、営業活動の進め方を「行動計画」として数値化し、月次計画や訪問件数、提案数、顧客獲得目標などを設定することが重要です。

持続的成長を実現する運営管理・品質管理体制の構築方法

事業を軌道に乗せるには、運営管理と品質管理の体制整備が不可欠です。品質管理の一般的ポイントとしては、

1)警備員の勤務状況の確認

2)教育記録の適正管理

3)有資格者の適切な配置

4)顧客との定期的な情報共有

5)トラブル発生時の迅速な報告体制

6)書類・記録管理の徹底

これらは警察庁の資料でも示されており、警備業者が持続的に運営するための基本的事項です。また、新規参入企業が長期的に成長するためには、

1)品質管理担当者の配置

2)業務改善の定例ミーティング

3)事故防止のための教育

4)KPI管理

など、社内の業務管理体制を強化していくことが重要です。

参考資料

警察庁「警備業の概況」・「警備業法に関する資料」

都道府県公安委員会「警備業認定申請案内」

内閣府「治安・防災関連統計」

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