株式会社船井総合研究所(船井総研)警備ビルメンテナンス経営研究会です。2026年以降も施設警備会社が選ばれ続けるためには、業界構造の変化を踏まえた経営判断が不可欠です。本コラム記事では人材、教育、業務品質、収益構造、法令順守、DXの観点から、中小施設警備会社が取るべき実践策を詳しく解説しています。
2026年以降の施設警備業界を取り巻く市場環境と構造変化とは
施設警備業界は、2026年以降にかけて大きな構造変化の局面に入ります。
この変化を正しく理解しないまま従来型の経営を続けることは、経営リスクを高める要因となります。
第一に挙げられるのが、日本社会全体の人口構造の変化です。
内閣府が公表する人口動態資料からも明らかなように、生産年齢人口は減少を続けています。
施設警備会社にとって、これは「人材確保が年々困難になる」ことを意味します。
第二に、施設そのものの性質が変化しています。
複合施設や大型商業施設、医療・福祉施設などでは、安全確保に加えて、利用者対応やトラブル時の初動対応など、警備員の役割が拡張しています。
このような環境下では、単なる人員配置型の施設警備会社ではなく、
「組織として安全を提供できる会社」が求められる時代へ移行していると言えます。
なぜ今、施設警備会社は「選ばれる存在」への転換が求められるのか
施設警備会社が置かれている競争環境は、表面的には変化していないように見えます。
しかし、発注者側の判断基準は確実に変化しています。
以前は価格や人員確保力が重視されていましたが、現在は
・安定した配置が継続できるか
・事故やトラブルへの対応力があるか
・企業として信頼できるか
といった点が強く問われています。
警察庁が示す警備業の基本的考え方では、警備業は公共の安全を補完する役割を担うとされています。
この位置づけを踏まえると、施設警備会社は社会的責任の高い事業であることが分かります。
「選ばれる存在」への転換とは、単なる差別化ではありません。
社会的役割を果たし続けられる会社として評価される状態を指します。
2026年以降も契約を継続される施設警備会社の共通した特徴とは
長期的に契約が継続している施設警備会社には、明確な共通点があります。
それは、現場任せではなく、会社として品質を管理している点です。
第一に、業務内容が明文化されていることが挙げられます。
警備業務の範囲、対応方法、報告手順が整理されている会社ほど、トラブルが少なくなります。
第二に、発注者との関係構築が継続的に行われています。
定期的な打ち合わせや報告を通じて、警備品質を「見える化」している会社は信頼を得やすくなります。
第三に、警備員の入れ替わりが激しくありません。
人材が安定していることは、施設の安全性だけでなく、発注者の安心感にも直結します。
施設警備会社における人材確保・定着の重要性と今後の方向性
施設警備会社にとって、人材は最大の経営資源です。
しかし、多くの会社が「採用」に偏った対策に終始しています。
厚生労働省の労働関連資料からも、今後は労働力人口が減少することが示されています。
この状況下では、採用競争に勝つこと自体が困難になります。
そのため重要なのが、定着を前提とした人材戦略です。
勤務条件の明確化、無理のないシフト設計、相談しやすい環境づくりが不可欠です。
また、年齢や経験に応じた役割分担を行うことで、幅広い人材が活躍できる組織になります。
これが結果として、施設警備会社全体の安定につながります。
2026年を見据えた施設警備会社の教育・育成体制の再構築ポイント
警備業法に基づく教育は、施設警備会社にとって最低限の要件です。
しかし、それだけでは2026年以降の要求水準には対応できません。
現場で求められるのは、
・状況判断力
・報告・連絡・相談の徹底
・施設利用者への適切な対応
といった実務能力です。
教育体制が整っている会社は、現場でのトラブルが少なく、品質が安定します。
そのため、教育を単発で終わらせず、継続的に見直す仕組みが重要です。
また、教育を担う立場の人材育成も欠かせません。
指導力のある人材がいることで、教育効果は大きく向上します。
業務品質を高める施設警備会社の運用体制と現場管理の考え方
施設警備業務の品質は、日常業務の積み重ねによって形成されます。
そのため、現場管理体制が極めて重要です。
本部が現場の状況を把握できていない場合、問題の発見が遅れます。
巡回報告や業務日報を活用し、状況を共有する体制が求められます。
また、現場責任者の役割も重要です。
責任者が機能している現場では、警備員の不安が軽減され、定着率も向上します。
このような運用体制が、業務品質を支える基盤となります。
2026年以降に差がつく施設警備会社の収益構造と経営管理の視点
施設警備会社の収益構造は、人件費の割合が非常に高い点が特徴です。
そのため、経営管理の精度が業績に直結します。
案件ごとの収支を把握せずに運営している場合、知らないうちに不採算が拡大します。
2026年以降は、収益性を意識した案件選定が不可欠です。
また、教育や管理体制に投資している会社ほど、単価交渉がしやすくなります。
適正価格での受注は、長期的な安定経営につながります。
施設警備会社が信頼を獲得するためのコンプライアンスとガバナンス
警備業は、法令順守が強く求められる業種です。
警備業法や関連法令を正しく理解し、日常業務に反映させる必要があります。
公安委員会の指導内容を踏まえた運営を行うことで、行政からの信頼も高まります。
コンプライアンスは、経営リスクを下げる重要な要素です。
また、内部ルールの整備や定期的な確認体制を設けることで、問題の未然防止につながります。
中小施設警備会社が取り組むべきデジタル化・DXの現実的な進め方
DXという言葉に対して、難しい印象を持つ経営者も少なくありません。
しかし、施設警備会社におけるDXは、身近な業務改善から始めることが可能です。
勤怠管理や報告業務のデジタル化は、管理負担を大きく軽減します。
これにより、管理者が本来注力すべき業務に時間を使えるようになります。
重要なのは、導入目的を明確にすることです。
業務改善につながるDXこそが、2026年以降の競争力を高めます。
2026年以降も選ばれる施設警備会社になるために経営者が今すぐ行うべきこと
2026年以降も選ばれる施設警備会社になるためには、経営者の意思決定が重要です。
短期的な利益ではなく、長期的な信頼構築を軸に経営を行う必要があります。
人材、教育、業務、収益、法令順守を総合的に見直すことで、会社の基盤は強化されます。
経営者が方向性を示すことで、組織全体が一体となって成長します。
参考資料
・警察庁「警備業の概要・警備業法」
・警察庁「警備業の適正な運営に関する資料」
・内閣府「高齢社会白書」
・内閣府「人口動態に関する基礎資料」
・各都道府県公安委員会 公開情報
※本記事は一般的な業界動向・経営視点の解説を目的としたものであり、特定の法的判断や助言を行うものではありません。
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